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データで見る!子供が万引きする心理と原因・対処法(3ページ目)

未成年の万引き検挙人員はかなり減っては来ていますが、今なお、青少年の犯罪の中で最も多いのです。万引きによる年間被害総額は4600億円にもなっています。我々はこのことをもっと深刻に受け止めなければなりません。

上野 緑子

執筆者:上野 緑子

幼児教育ガイド

万引きに誘われたことがあるか

友達に万引きを誘われた経験の「ある」者の全国平均は小2.4%、中4.0%、高2.1%でしたが、一部の地域では、「小 約10%、中 約20%、高 12%」や「小 約8%、中・高 約10%」というように、割合が非常に高い地域もあります。

これはある都道府県における全体的傾向を示しているのではなく、全国各地に離散的に局在しており、今回調査した特定の学校・地域の傾向と考えるべきだと言われています。

万引に誘われたときの対処

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万引きに誘われたときの対処は?

小学生の場合、「友達の誘いをはっきり断り、万引は犯罪であると注意する」が非常に高いのですが、中高生は、3割台に留まっています。

中高生の場合、「友達の誘いをはっきり断る」が高く、「友達の誘いをあいまいな態度で無視する」をここに加えると、誘いにはのらないが相手に注意はしないと答えた者の割合が、中学生で6割、高校生で7割と非常に高いと言えます。

小学生は、誘いにのらない上、相手に対して忠告する気持ちを明確にもつ傾向にあるのに対して、中高生は、誘いにはのらないが、相手に対して忠告はしない、という傾向があることがわかります。

 

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生活満足度との組み合わせたデータ

生活満足度に関する調査データ(とても満足している「2」~とても不満である「-2」まで5段階)と組み合わせたグラフが右です。中高生で、「友達の誘いは断れないので、仲間に入る」と答えた者の生活満足度は、他の回答をした者よりもかなり低いものとなっています。

また、「友達の誘いをあいまいな態度で無視する」と答えた者の生活満足度も残りの二つの回答をした者よりも若干低く、とくに小学生でそれが顕著です。中高生では、生活満足度の低い者は友達の誘いを断れないか、あいまいな態度で無視すると答える傾向にあり、生活満足度の低さと規範意識の低さに関連が見られます。

万引しやすい店の種類

中高生に「あなたの住んでいる近くで、万引をしやすいと言われている店を知っていますか」との設問に、「知っている」と答えた者が、約5人に一人であり、かなり高い割合になっています。そこで、「知っている」と答えた人にどういう店か選んでもらいました。

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万引きしやすいと言われている店



店は警察に通報すべきか

万引をした子どもを捕まえた店は、警察に通報すべきだと思うかの問い(中高生のみ)に対し、「警察に通報すべき」と答えた者は約7割、「そう思わない」は約3 割となりました。

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警察に通報すべきと思わない理由

次に「そう思わない」と答えた者に、その理由を聞いてみたところ、「犯罪者として扱うのは子どもの将来を奪うことになるから」という理由が6割近くを占め、「かわいそうだから」を同じ意味合いの回答とみなせば、7割の高校生が、万引を警察沙汰にすると本人のためにならず、むしろより穏便に解決すべきだと考えていると解釈できます。

また、次に高かったのは「店にも責任がある」であり、「万引は、される店も悪いから警察に通報すべきではない」と考えていると思われます。

私自身、万引きしているところを目撃したことがないので、身近な問題としてとらえることができなかったのですが、こうして数字を突きつけられると、一人一人がもっと真剣に取り組んでいかなければならない問題だと改めて思います。

万引きをする理由として、商品そのものが欲しいのではなく、仲間外れにされたくないから、楽しいからなど、日常生活と大きく関わりがあることもわかってきました。しかしながら、捕まらない限り自分の子どもが万引きをしているというこに気付いていない親がほとんどだと思われます。

子供の万引きへの対策は?

子供は万引きに対して教育的な対応を求めている傾向が見られます。子供が万引きに走らないためにも、あるいは万引きをしてしまった際に、どのように子供と向き合えばよいのか、きちんと考える必要があります。強制的・懲罰的な姿勢をとるよりも、啓発的な対策で子供自身に、万引きについて考えさせられるようになるのが良いでしょう。

これらを踏まえて、私達は万引きをなくすにはどうすればいいのか、また、もしも我が子が万引きをしてしまった場合は、どう対応すればいいのかなどは、次回の「子供自身が考える『万引き対策』とは」でさらに詳しく考えていきたいと思います。
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