履き心地の秘訣は内部にもあり!
アッパーを木型に吊りこむ前の状態を、ライニングをめくって見てみた写真。中央両脇にあるキツネ色のパーツが「ダブラー」と呼ばれる補強芯です。ここまで長く入っている靴は、日本ではほとんどない筈。履き心地の安定性と靴の堅牢性の向上に大きな役割を果たします。
上の写真をご覧下さい。簡単に申せば、靴のアッパーをライニングと合わせて木型に釣り込む前の状態なのですが、両脇にあるキツネ色のものに特にご注目いただきたいのです。これは「ダブラー」と言われるアッパーとライニングの間に挟み込まれる一種の補強芯で、これがトウキャップのすぐ後から一気に長く伸びていますよね。「側面支援」が心地良いのは、正にこれのお陰! 海外の既製靴、特にイギリス製の紳士靴では暫し行われているものの、日本の紳士靴ではダブラーは通常ここまで長くは用いません。そしてこのダブラー、安価な布や不織布を用いることも多いのですが、RENDOの靴では贅沢に牛革を用いているので、アッパーの柔らかさを損ねることなく靴の堅牢性を増すのにも大いに役立っている訳です。
RENDOの靴を後方から眺めてみました。外くるぶし側と内くるぶし側で、カーブが大きく異なっているのがお分かり頂けると思います。外くるぶし側への微妙な傾きも、近年の日本人男性の足の「くせ」を配慮したものです。
今度は前方から眺めてみました。外くるぶし側と内くるぶし側での尾根線の違いに注目! 足によりフィットするよう、木型を何度も試作を重ねて完成させた複雑な面構成です。なのに靴全体でみると全く違和感がないのは、木型と型紙の双方を作成できる吉見氏だからこそ!