ゲームの価値は相対的に下がっている
モバイル端末向けの初代ドラゴンクエストが300円で買える、なんていうのも、ゲーム価値について考えさせられる例かもしれません
ダウンロードで衣装や新しいマップなどを売る仕組みは、1つ1つのパーツに価格をつけてバラで売ることで、制作コストと販売価格のバランスを良くしていますが、ゲームの価値自体を高めていないので、ユーザーから不満が出ることがあります。
そんなちょっとしたものを後からバラ売りせずに、最初からパッケージに入れておいて欲しい、という意見は、ゲームユーザーの間ならよく聞くことがあるんじゃないでしょうか。つまり、パッケージに払っている金額に、その程度のものは含まれていて当然とユーザーは感じているということですよね。ユーザーから価値を低く見積もられているのです。
結局、ゲームの価値が向上しなければ、大規模な開発コストを投じて大ボリュームのコンテンツを制作しているのにも関わらず、ユーザーからは高いと文句を言われるというような現象が起こります。
価値の転換が必要になる時
ゲームというコンテンツの価値を見直す時期に来ているのかもしれません(イラスト 橋本モチチ)
ですからそもそも、「500円ぐらいも出せばマンガ一冊買えちゃうのに!」という発想はあまりでてきません。価値の創造に成功しているのです。
これからコンシューマーゲームではさらにオンラインビジネスが盛んになるでしょう。バンダイナムコゲームスがPlayStation3用に配信している「鉄拳レボリューション」など、基本無料、いわゆるフリートゥプレイのゲームなども既に登場しています。前述のパワプロ2013にはソーシャルゲームにおける「ガチャ」も搭載されてますし、パッケージの価格よりもオンライン課金で収益を見込んでいくゲームもより増えていくかもしれません。
しかし、それらがゲームの価値を高めていなければ、単にゲームとその価格をバラバラに分解することで、高く売りつけているのをバレないようにしているだけであったとしたら、長期に渡るユーザーの支持は得られないでしょう。だからと言って、さらにさらに開発を大規模化させていって、ゲームをリッチにすることでユーザーの満足度を高めようとしても、そろそろ破綻する未来がチラつきます。
ガイドは、20の質問をやろうと思ってLINEを始めました。そしてそれが楽しくて、スタンプを購入するようになりました。LINEをやる理由としては極めて特殊なんですが、ゲーム好きがゲームをしていたら、より楽しめるツールがあったので購入した、と考えると、何かゲーム業界にも通じるものがあるように思えてきます。
そしてそのスタンプを使っていると、単なる画像の詰め合わせが、LINEの中で大変な価値を生み出していることに気がつきます。大事なことは、LINEスタンプがどこまでお金をかけて作りこまれているかということではなく、単純に使っていて楽しいということなんです。楽しいことには、お金を払ってもいいじゃないですか。そういう価値の創造、転換、ひいてはボリューム主義からの脱却が、コンシューマーゲームの中にこそ必要なよう思えてなりません。
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