勉強の「やることリスト」はうまくいかないようにできている
「やったことリスト」に付け足して書いた「その勉強で得たこと」のポイントを見直すことで学んだことが復習でき、定着させることができるので一石二鳥です。
<目次>
大人の仕事と子どもの勉強は似て非なるもの
やるべきことをピックアップしてリスト化する。リスト化したらやるべきことの優先順位をつけてとりかかる。これは仕事を進めるうえでの基本です。でも、子どもの勉強にこのやり方をあてはめようとすると失敗します。大人の仕事と子どもの勉強は似て非なるものなのです。大人はプロとして仕事に取り組んでいます。プロである以上、やる気の有無に関係なく自分のパフォーマンスを最大限発揮して業務を遂行しています。一方、子どもは素人です。素人ですから、やる気が出なければ勉強しません。周囲の大人が強制力を働かせれば勉強し始めるものの、監視がなくなればすぐに勉強をやめてしまいます。したがって、子どもを自発的に勉強するようにさせるには「やる気」を高める工夫が必要です。
勉強でやらなくてはいけないことが多いとやる気がなくなる
子どものやるべきことをピックアップする過程で、多くの「やるべきこと」が挙がるはずです。それらの項目は子どもにとっては苦痛でしかありません。そのうえに、がんばりきれないほど多くの項目がリスト化されると、1つも手をつけずにすべて投げ出したくなるのが子どもです。やるべきことは「1点集中」が理想です。1つに絞った方が子どもは集中して取り組みます。どうしてもまだ他にやることがあれば、1つのことが終わった後に次の「1点集中」すべきことを決める、というようにすると子どもは取り組みやすくなります。勉強の「やることリスト」をとにかく終わらせるのが目的に
仕事であれば、「質」を追求するよりも、とにかく期限までにその作業を「完了」させることが最優先であることも多いでしょう。子どもの勉強は逆です。終わらせることよりも「質」が大事です。ところが「やることリスト」を作ると、とにかく終わらせることが目的になりがちです。子どもの頃に問題集など宿題の答えを丸写しした経験はないでしょうか。終わらせることが目的になると、「勉強」が「意味のない作業」になってしまいます。やるべきことを「終わらせる」よりも、「その勉強を通じて何かを得ること」の方が大事だということを伝えてあげてください。勉強でやりきれなかったことの罪悪感を与える方法
「やることリスト」を作ってがんばらせようとしても、実際にはやり切れないことが多く出てくるはずです。そうなると子どもは、やり切れなかったことへの罪悪感を持ちます。罪悪感は「自分は勉強ができないんだ」と自信をなくさせます。大人に与えられた仕事は給与を得ているのでやらなければならない義務がありますが、子どもの勉強はやらなくてはいけないことではありません。勉強には知らないことを知ったときの喜びや、わからないことがわかったときの快感があります。しかし強制されると喜びや快感を得られにくくなります。
したがって、「やることリスト」ではなく「やったことリスト」にしてみるのはいかがでしょうか。その日に勉強したことを箇条書きで記録する。できれば、その勉強によって得られたことも書き足しておけば理想的です。自分が勉強し終えたリストなら子どもは自分から見ようとしますし、見ることで達成感が得られます。その達成感が自信になり、新たなやる気につながっていきます。「やったことリスト」に付け足して書いた「その勉強で得たこと」のポイントを見直すことで学んだことが復習でき、定着させることができるので一石二鳥です。
さて、いかがでしたか? 子どものやる気を出させようとするなら、子どもが自発的に「勉強したくなるような工夫」をすることを考えてみてくださいね。
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