LAの高級ホテルを舞台にしたスターと娘の親子物語
『SOMEWHERE』(2010年度作品)
高級ホテルでチャラチャラした生活を送るハリウッドスター(スティーヴン・ドーフ)のもとに別れた妻が引き取った娘(エル・ファニング)が尋ねてくる。しばらく娘を預かることになったハリウッドスターと娘の清らかで美しい日々の物語。
人気スターが空虚な心を埋めるためにどんちゃん騒ぎをしているところにやってきたかわいい娘。彼の生活は一変し、娘とWiiをやったり、プールサイドで寝そべったり。そんな普通の生活がくすぐったくも愛しい時間になっていくプロセスが、可愛らしく美しい。
大きな事件があるわけじゃないけど、スターの私生活を自然に綴れるところがコッポラ監督の強み。彼女自身、この映画の少女のような生活を送ってきたから、ホテル滞在も一流品の扱いもすべてに嫌味がなく普通。育ちの良さが映画にズバリ現れているのです。
特に黒のフェラーリの扱いの巧さ! ハリウッドスターのアクセサリー的な存在として気軽に見せているのがいいですね~。だからかえってオシャレ感アップ。コッポラ監督は小道具の使い方が本当にうまいと思わせる映画でもあります。
監督: ソフィア・コッポラ
出演: スティーヴン・ドーフ、ジョニー・マルコ、エル・ファニング、クリス・ポンティアス、ララ・スロートマン、クリスティーナ・シャノン、カリサ・シャノン、アマンダ・アンカ、エリー・ケンパー、ミシェル・モナハン、ベニチオ・デル・トロほか
※ソフィア・コッポラ映画は、父親のフランシス・フォード・コッポラ監督作とは全く趣が違いますが、まぎれもなくコッポラの娘だから得た経験が映画になっています。そういう点では、いい意味で親の七光りを賢く利用しているのでしょう。親の富で得た生活で自分のセンスを磨いてきたソフィア・コッポラ。こういう賢い二世なら、どんどん世に出てもいいと思いますね。