思春期の危ない感情をスクリーンに映し出した美麗な青春映画
『ヴァージン・スーサイズ』(1999年度作品)
美しい5人姉妹の末っ子が自殺未遂で一命をとりとめたあと、窓から身を投げて自殺してしまう。そのあと四女が男子生徒と過ちを犯し、両親は姉妹を家に閉じ込めてしまい……。思春期の少女たちの危うい感情を、現実なのか夢なのかわからないような漂う世界の中で構築したソフィア・コッポラの監督デビュー作。
思春期ならではのイライラ感を映し出した映画はあるけど、この映画はそのイライラ感を甘い砂糖菓子にくるんで描いています。そこには女性の性的な目覚めも含んでいるのかなあと思ったりもするのですが、ブロンドで美白で妖精のような少女たちが演じると、そういった生々しさが排除されてしまい、残るのは少女たちの危うい美世界。
結局なんだったんだ?と思いつつ、少女たちの不安定な感情に振り回されながらも最後まで見ちゃう……という不思議な映画です。アメリカ映画の十代女子は「え、ティーンなの?」というほど大人びていて、中にはケバケバしい子もいる中、ソフィアの世界の少女たちはシンプル&ナチュラルで可愛らしいティーン。そこが、これまでのアメリカの青春映画と一線を画するガーリーな世界!と日本受けしたのかもしれません。
出演: キルステン・ダンスト、ハンナ・ホール、ジェームズ・ウッズ、キャスリーン・ターナー、ジョナサン・タッカー、ジョシュ・ハートネット、チェルシー・スウェイン、A・J・クックほか
※次はアカデミー賞脚本賞を受賞した東京を舞台にしたソフィア・ワールド!