外廊下型マンションの特徴3:田の字プラン
外廊下型マンションの間取りの特徴として「田の字プラン」(【図2】参照)があります。「田の字プラン」はマンションで最もポピュラーな間取りであり、外廊下型マンションを象徴する間取りでもあります(マンションの田の字プランについての解説はこちら)。【図2】田の字プランの例。外廊下側に個室が2室、バルコニー側にリビングダイニングと和室が配されている。
田の字プランが可能なのは外廊下型マンションが「2面採光」だからこそ。基本的にバルコニー側と外廊下側の2面から採光・通風を得ることができ、その2面が「南と北」もしくは「東と西」など対面で取れているのが特徴です。採光・通風を確保できる方向には、リビング・ダイニング、寝室、子ども部屋などの居室を配置することができます。
外廊下型マンションの特徴4:妻側(つまがわ)・セットバック
外廊下型マンションの間取りの代表「田の字プラン」は比較的住戸毎の特色を出しにくく、それが原因で「外廊下型マンションの間取り(=田の字プラン)は画一的だ」と言われてしまうこともあります。しかし、外廊下型マンションで特色を出せる住戸もあります。一つは建物の両端に位置する妻側(つまがわ)住戸で、3面採光が可能のため、他住戸よりも面積を広く取り個室数を増やしたり、間取りに変化を持たせるなど付加価値をつけている例も見られます。また、上階に行くにしたがって建物を段階的に後退させるセットバック形式のマンションであれば、下階の屋根部分に広いルーフバルコニーを設けて特色を出している間取りもあります。
【図3】妻側住戸と中住戸。建物の両端に位置する妻側住戸は3面開放のため、間取りのアレンジがいろいろできる。
外廊下型マンションの特徴5:自己日影(じこひかげ)
1)のケース例。同じ敷地に複数棟配置しているマンションは自己日影が生じる可能性も。
凸凹の多い、複雑な形状のマンションは間取りのバラエティには富みますが、2)のケースの自己日影が生じる可能性があります。外廊下型マンションは同じような間取りが横一列に並ぶ「かまぼこ型」とも呼ばれ、建物全体の形がシンプルな長方形が多いため、隣の住戸からの日影の影響が出にくい形と言えます。このことは外廊下型マンションの「どの住戸も太陽の恵みを均等に受けられる」というメリットを生んでいます。
外廊下型マンション特徴まとめ
画一的な間取りになりがちだが優れた面も多い
外廊下型マンションは、採用数も多くマンションの代表的な形式です。外廊下型マンションでは田の字プランを基本として似たような間取りが採用されることが多く「画一的になりがち」「面白味が少ない」と捉えられることもありますが、妻側住戸、セットバック住戸などに注目すれば変化に富んだ間取りを見つけることができるでしょう。シンプルなカタチをしているからこそ「より地震に強く、採光条件のよい住戸が多く供給できる」という特徴を持っています。
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