古い住宅における耐震改修は急務です。東日本大震災以降、その余震が収束するまでにまだ数年かかるといわれているほか、地震多発期に入っているとみられる現代では、次の巨大地震も懸念されています。

耐震改修

大地震による住宅の倒壊、全壊などは避けたいものだが……

平成25年12月20日に政府の地震調査委員会が公表した「30年以内の震度6弱以上の発生確率」では、都道府県庁所在都市において千葉市の77%を筆頭に、高知市71%、横浜市70%、津市70%、徳島市68%、静岡市65%、水戸市62%など、50%以上が13都市にのぼっています。

もちろん確率が低い都市なら安心というわけではなく、日本全国どこでも次の大地震による被災地となる可能性があることを忘れてはなりません。大きな揺れによって住宅が倒壊すれば、居住者の身体にダメージを与えるだけでなく、火災の発生源になることで周囲の住宅に甚大な被害を及ぼしたり、近隣住民の避難路を塞いで被害の拡大を招いたりすることもあるでしょう。

平成25年11月25日に施行された「改正耐震改修促進法」(建築物の耐震改修の促進に関する法律の一部を改正する法律)では、不特定多数の者が利用する大規模建築物などについて耐震診断の実施を義務付けました。個人の住宅にこの義務が課せられることはありませんが、築年数の経った住宅では耐震診断を受け、その結果に応じて耐震改修工事をするべきであることに変わりはありません。

今回は、耐震改修工事をしたときに所得税の控除などを受けることのできる「耐震改修促進税制」について、その内容を確認しておくことにしましょう。


耐震改修促進税制は「投資型減税」と「固定資産税の減額」

耐震改修工事をした場合に受けることのできる税制優遇メニューは、投資型の所得税控除(住宅耐震改修特別控除)と固定資産税の減額措置の2つです。省エネ改修工事とバリアフリー改修工事の場合には、この2つに加えてローン型減税(通常の住宅ローン控除とは別の規定による控除)があるため、少し分かりづらいかもしれません。ただし、耐震改修工事またはそれと併せて実施した増改築工事が通常の住宅ローン控除の要件を満たしていれば、投資型減税と住宅ローン控除の両方を適用することができます。

耐震改修促進税制の適用期限は現時点で、投資型減税が平成29年12月31日まで固定資産税の減額措置が平成27年12月31日までとなっていますが、それぞれの期限を迎える年の税制改正で延長される可能性は高いでしょう。


投資型減税の主な適用要件

投資型減税は工事費用をローンで借り入れたかどうかに関わりなく、その年の所得税を控除することのできる制度ですが、耐震改修については平成18年の創設以降、要件の変更がいくつか加えられています。

当初は「工事費用の10%相当額(最高20万円)」でしたが、平成21年1月1日以降は「実際の工事費用と標準的な工事費用相当額のうち、いずれか少ない金額の10%相当額(最高20万円)」となり、消費税率がアップする平成26年4月1日以降は「標準的な工事費用相当額の10%(最高25万円)」に一本化されます。なお、平成26年4月1日以降であっても、経過措置によって消費税率5%が適用された場合は控除上限額が20万円に据え置かれます。

また、当初は地方公共団体の計画に基づいて指定された一定の区域に限り適用されることになっていましたが、平成23年6月30日以降はこの地域要件が廃止され、全国どこでも適用されるようになっています。その一方で、同日以降の工事契約では、国や自治体から補助金などの交付を受けた場合に、その補助金相当額を計算対象の工事費用から差し引くことになりました。

耐震改修工事における投資型減税の主な適用要件は次のとおりです。

□ 自己の居住の用に供する家屋であること
□ 昭和56年5月31日以前に建築された家屋であること
□ 工事前の家屋が現行の耐震基準に適合しないものであること
□ 工事後の家屋が現行の耐震基準に適合するものであること

居住用の家屋を2つ以上所有している場合には、「主として居住の用に供する1つの家屋」だけが適用対象となります。また、対象となる改修工事をした場合には、申請に基づいて地方公共団体の長、登録住宅性能評価機関指定確認検査機関、建築士、住宅瑕疵担保責任保険法人のいずれかから「住宅耐震改修証明書」が発行されます。この証明書で控除額の計算対象となる「標準的な費用の額」を確認することができます。なお、次のページに標準費用の表を掲載していますので、こちらも参考にしてください。


投資型減税の申告手続きと固定資産税の減額措置…次ページへ