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黒の靴クリームの「色」を 深く考えてみる Collonil(2ページ目)

黒の乳化性靴クリームの「色」について、製品ごとに特徴を解説するこのシリーズ。今回はドイツのCollonilの代表的な靴クリームを2つ採り上げます。日本だけで販売されている商品と近年モデルチェンジが行われた商品、色合いはどう異なるのでしょうか?

飯野 高広

執筆者:飯野 高広

靴ガイド

7. Collonil 1909 Supreme Crème De Luxeの黒

Collonil 1909 Supreme Creme De Luxe Black

Collonil 1909 Supreme Creme De Luxeの黒は、M.Mowbrayシュークリームの黒に比べ赤味と黄味が濃く、前回採り上げた「青地に白のSAPHIR」と似たような色合いです。前任者たるDiamantに比べても濃さが増しています。

1909年創業のこのメーカーが100周年事業の一環として、従来のPremiumシリーズを一新して誕生したCollonil 1909シリーズ。丁度世紀が変わる頃、「有機溶剤不使用」と2千円越えとなった価格で登場時に大きな話題を集め、以来安定した人気を誇っていたDiamantも、その流れに合わせてこちらのクリームにモデルチェンジされました。Diamantもつい最近まで併売されていましたし、また価格もちょっぴり上がったので、どちらにしようか店頭で悩まれた読者の方もいるでしょう。

このモデルチェンジで色調も若干変化し、簡単に申せば従来のDiamantに比べ明らかに1トーン濃くなり、補色力が俄然増しています「モゥブレィの黒」と比べても赤味・黄味がより増してくっきりとしており、前回の記事で紹介した「青地に白のSAPHIR」と極めて良く似ています。その一方で光沢に関しては、これら3つのクリームに比べ殆ど違いが無く、違和感のないものになっています。

Collonilの商品は伝統的に水のように柔らかな使い心地のものが得意な中、ひたすら滑らかだったDiamantに比べ、こちらには僅かにトロッとした要素が加わっているのも特徴かも知れません。シダーウッドオイルやラノリンが主成分なのはそれと同じですが、こちらには撥水性をより高めるためフッ化炭素樹脂(簡単に言うと、鍋の焦げ付きを防ぐテフロン加工の原材料と類似したもの)を添加しているので、それが粘度の変化に影響しているのかな? 自然な印象が際立っていたDiamantに比べ、この1909シリーズのSupreme Crème De Luxeはそこから更に一歩踏み込んで、革を守る方向性を強化した商品と言えそうです。
Collonil Diamant Black

ご参考までに、惜しまれつつ廃盤となったCollonil Diamantの黒です。色合いは後継者の1909 Supreme Creme De Luxeではなく、前のページのAnilinクリームの黒と瓜二つ! 後者がこれをベースに作られた証拠の1つです。

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