男の靴・スニーカー/シューケア・手入れ

黒の靴クリームの「色」を 深く考えてみる Collonil

黒の乳化性靴クリームの「色」について、製品ごとに特徴を解説するこのシリーズ。今回はドイツのCollonilの代表的な靴クリームを2つ採り上げます。日本だけで販売されている商品と近年モデルチェンジが行われた商品、色合いはどう異なるのでしょうか?

飯野 高広

執筆者:飯野 高広

靴ガイド

6. Collonil Anilinの黒

Collonil Anilin Black

Collonil Anilinの黒はそれほど尖った印象の無いグレイ。M.Mowbrayシュークリームの黒に比べ、青味が少なめの色合いです。使い心地も色と同様に穏やかなので、ついつい塗り過ぎても革にあまりダメージを与えません。

皆さんが当たり前に使っている黒の色付き乳化性靴クリームの「黒」を、大定番・M.Mowbray(以下、「モゥブレィの黒」と記します)を一応の目安に、色味や伸び、それに浸透性などをチェックするこのシリーズ。赤味・黄味が前に出たフランス製のSaphirは、イギリスのレシピを起源に持つM.Mowbray系が青味を感じるのとは対照的な色合いであることを、前回の記事でご理解いただけたかと思います。日頃見ている「色」が国や地域で微妙に異なるのが、この種の製品には何気なくも明確に反映されてしまうのかもしれません。

となるとドイツが誇るシューケアブランド・Collonil(コロニル)の黒が気になる訳で、まずは色付きが「黒」しか存在しないこのAnilinクリームから。これは日本サイドのリクエストに応じて企画された日本向け限定商品で、このブランドの本拠地たるヨーロッパでは購入出来ません。惜しまれつつも後継者・1909シリーズに道を譲ったDiamantを参考にしただけあり、色合いもそれと非常に良く似た角の立っていないソフトな印象で、「モゥブレィの黒」と濃さは似たり寄ったりのグレイで光沢もそれと同様ですが、青味はそれより少ないですね。

むしろこの乳化性靴クリームの大きな特徴は、紙に塗る際の抵抗感の少なさでしょう。以前ご紹介したM.Mowbray Prestigio Cream Naturaleと同様に、スーっと滑らかに伸びて浸み込んでいきます。吸収作用に優れたアロエベラを成分に入れているからなのかな? とは言えシャビシャビと無造作に浸み込みはしないので、塗布するのは非常に簡単です。 「Diamantの性能を、もっと気軽に」とのコンセプトで開発されただけあり、コストパフォーマンスに優れた製品であるのは間違いありません。

さあ、そのDiamantの後継者は一体どうなのか? 次のページでご紹介申し上げます。
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