ぶらりと見て回る、ブルージュの観光スポット
個人旅行でも行きやすいブルージュは、ブリュッセルの主要駅(中央駅、南駅、北駅)から急行電車(IC)で、ちょうど1時間。ほとんどの場合、途中停車駅は、ゲント(駅名はSt Pieters)だけですし、1時間に2本の割合で出ているので慣れなくても安心。電車の切符は往復を購入し、ブルージュ駅についたら、帰りの電車が毎時何分にあるかだけチェックしておけば、さらに安心。夏など、海に行楽に行く地元客とも一緒の方向になり混雑したら、一等車両で悠々腰掛け、検札が来たら、一等料金を追加で払うとよいでしょう。駅から旧市街中心地のマルクト広場までは、距離としてはせいぜい2~3km程度。景色や見所を見ながら、そしてチョコレートやレースの小さな店を覗きながらゆっくり歩けば、片道2時間位のコースになります。水車まで足を伸ばせば、たっぷり丸一日の散策コース。足に自信のない方は、駅から町の中心に向かって探索しながら歩き、疲れたら帰りはタクシーか、バスに乗って駅に戻ると良いでしょう。駅には、観光案内があるので、そこで地元の通り名が併記された地図を入手すると役立ちます。
では、ここでは、駅から旧市街の中心に向かって歩くコースを想定し、順に「ぶらりと見て回るブルージュ」の見所を解説します。
駅至近、愛の湖からスタート
まず駅を背に左側の信号で目の前の環状道路を反対側に行くと、すぐに小さな橋があります。橋を渡って、小さな川に沿って歩くと小さな湖に出ます。夏場は青葉が生い茂り、木漏れ日が美しい。冬場は殺風景ではありますが、水鳥が長い厳しい冬の欧州を過ごす様子に情緒が感じられます。日本語で「愛の湖」と呼ばれるこの湖は、地元の言葉では Minnewaterと呼ばれ、物悲しい悲劇の伝説が残っています。ミンナというローマ人の美しい娘が、ローマとは敵である隣町の兵士である青年に恋をします。兵士が戦いに出ている間に、無理やり婚姻を結ばれそうになり逃げてきた彼女は、すっかり弱りはて、約束通り戻ってきた兵士と再会したものの、そのままこのあたりで亡くなりました。嘆き悲しんだ兵士が彼女をそこに埋葬し、川のダムを壊して水で満たし湖を作ったといわれています。
一方、ここはブルージュが港として栄えた頃は内港で、最も栄えた14世紀には、当時世界中からやってくる船が、年間を通して100隻以上も停泊していたと言います。そういう時代に思いを馳せると、恋人たちの悲恋に負けずとも劣らぬ歴史のロマンを感じずにはいられません。
この愛の湖に隣接しているのは、ユネスコの世界遺産にも登録されているベギン会院のひとつで、ブルージュのものは保存状態がよく、最も美しいものの一つと言えるでしょう。門を入ったら、静寂に。四季折々の中庭の美しさを堪能しながら、散策を続けます(ベギン会についての詳細説明は別途)。
レースやチョコレートのお土産ショップが数多くあるウェインガルド通り(Wijngaardstraat) やウァル通り(Walstraat)からブルージュに唯一残る地ビールの「ハーフ・マーン醸造所」のあるウァル広場(Walplein)などを訪ねながら、観光の主要通りカテレイン通り(Katelijnstraat)を抜けて、町の中心を目指します。