ベルギー/ブルージュ

メムリンク美術館/ブルージュ

初期フランドル派の絵画の技術を発展させたハンス・メムリンクの作品を所蔵する美術館。欧州最古のひとつと言われる病院、聖ヨハネ施療院跡にあります。

執筆者:林 瑞絵

メムリンク美術館で“ベルギーの七代秘宝”のひとつ
『聖女ウルスラの聖遺物箱』を鑑賞

ハンス・メムリンクの傑作『聖女ウルスラの聖遺物箱』(c)Office de Tourisme de Bruges

ハンス・メムリンクの傑作『聖女ウルスラの聖遺物箱』(c)Office de Tourisme de Bruges

白タイツが似合いそうなメムリンク

白タイツが似合いそうなメムリンク

ファン・エイクの跡を継ぎ、初期フランドル派の絵画技術を発展させたハンス・メムリンク。ドイツ出身ながらブルージュの市民権を得て画家として大成し、この地で骨を埋めました。後にイタリアルネサンスにも多大な影響を与えた北方画家の立役者メムリンクの6作品が集められた貴重な美術館です。

なかでも“ベルギーの七代秘宝”のひとつに数えられる『聖女ウルスラの聖遺物箱』は彼の最高傑作。まばゆく金色に光り輝く本作品ですが、実は図柄をよく見るとかなり陰惨な伝説をもとにしていることに気がつくことでしょう。ブルターニュ王の娘ウルスラが、フン族の首長からの求婚を断ったために、お供をしていた11000人の処女たちともに殺害されたとされる物語が描かれているのです。また館内では当院の守護聖人が描かれた『聖カタリナの神秘の結婚』の三連祭壇画も、神々しい存在感を放っています。中心に腰掛ける聖カタリナは、市民に愛されたお姫様、ブルゴーニュ公国の公女マリーに似せて描かれたと伝えられます。

この美術館はヨーロッパでも最も古い歴史を持つ病院、聖ヨハネ施療院跡にあることも魅力のひとつ。最古の文献では1181年まで歴史を遡れるとか。かつては単なる医療活動だけではなく、旅人に宿も提供していたといいます。病院としては1978年まで営業していたということですから、いかに長い歴史を持った病院であったかがうかがわれます。ひんやりとした空気が張りつめる館内では、かつて病棟であったことを様々な展示資料で現在に伝えています。美術館横の通路を抜け中庭へ入ると中世の薬局跡も残されており、内部が見学できるのも一興です。

<DATA>
Memling in Sint-Jan(メムリンク美術館/聖ヨハネ施療院)
住所:Mariastraat 38 8000 Brugge
TEL:+32 (0)5 044 87 11
開館時間:火~日曜9:30~17:00
入館料:大人8ユーロ、65歳以上6ユーロ、25歳以下1ユーロ
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