老舗カフェで伝統的なギリシャコーヒーを
専用の柄の長い手鍋に入って運ばれる「MOKKA」のギリシャコーヒー
アテネ都心、中央市場のすぐ近くにある「MOKKA(モカ)」は1922年創業の老舗カフェ。古くから家族経営でオリジナルのギリシャコーヒーを提供し、このタイプのコーヒーをギリシャコーヒーとして定着させてきた店です。第二次世界大戦後の1950年からは、コーヒーショップのチェーン店を展開し、全ての店においてオリジナルブレンドの新鮮で挽き立てのコーヒーを提供しました。また「BRAVO」(ブラヴォー)という製品名でコーヒーの販売も開始。各商店やスーパーなどでも最も有名なギリシャコーヒーのパイオニアブランドとして広く知られるようになっていきました。1994年にチェーン店やBRAVOブランドを多国籍企業に売却しましたが、最初の歴史的な「MOKKA」の店舗だけを残して営業を続けていました。
1999年に4代目となる創業家の念願がかない、歴史的な古い建物を改装。厳選したコーヒー豆の選別機や焙煎機、グラインダーなどを導入、完全にオリジナルの自社製品を売る店として生まれ変わりました。コーヒー豆販売の新しい店舗の方では、その工程も一部見ることができます。その隣に昔ながらの雰囲気を残すカフェ「MOKKA」の店舗があります。
典型的な昔ながらのカフェの雰囲気がある店内はこじんまりとしていますが、店員さんはギリシャのバリスタ・チャンピオンシップでの優勝者や上位入賞者も数人います。現在の代表のニコス・プソマスさんも、2005年のワールドカップ・テイスターズ・チャンピオンシップで5位に入賞の実力者。他にも国内外の様々なコーヒー関連の競技大会の優勝者を輩出したり、数々の賞を受賞している店です。
ギリシャコーヒーはヘルシーで安価な飲み物
ギリシャコーヒーは1.50ユーロ(ダブルは2ユーロ、デカフェ2.50ユーロ)と安価です。このカフェだけでなく、どのカフェでもたいていギリシャコーヒーは、メニューの中で他のコーヒーと値段を比較しても最も安いのですが、とてもヘルシーな飲み物です。アテネ大学医学部が行った調査で「毎日ギリシャコーヒーを飲む人は、飲まない人に比べて内皮機能が良好」という結果は、医学専門誌にも発表されました。ギリシャコーヒーはポリフェノールと抗酸化物質が豊富に含まれつつ、カフェインの量は少ないため、他のコーヒーよりも健康への好影響が効果的にあらわれるのだそうです。
ギリシャコーヒーは濃くて苦味が強めですが、注文する際にほどよい甘さを意味する「メットゥリオ」と言い足せば、砂糖を適度に加えてつくってくれますので、飲みやすくなります。飲みなれるとクセになる美味しさで、コーヒー通の人にも人気があります。
MOKKAはコーヒー専門店なので、ギリシャコーヒーや日本で一般的なフィルターコーヒーの他にも、エスプレッソ(1.90ユーロ)、カプチーノ(3ユーロ)、アイスカプチーノこと、フレッド・カプチーノ(3.50ユーロ)、モカチーノ(3.80ユーロ)などいろいろな種類のコーヒーがあります。幾つものオレンジをまるごと絞るフレッシュオレンジジュースも2.50ユーロと良心的な値段。ギリシャはコーヒー党の多い国なので、あまり紅茶は置いてないカフェが多いですが、ここはけっこう種類があります。その他、ドーナツ、ピザなどのスナックも置いているので、街歩きでちょっとお腹が空いた際の休憩にも最適です。店内は無料Wi-Fiサービスが利用できます。
飲み物やスナック類はテイクアウトもでき、店内で飲むより更に安くなります。外にテラス席もありますが、この店の前の通りはかなり人の往来が激しいので、テーブルの上に貴重品(特にスマホやカメラ)を置かないようにしましょう。
ギリシャコーヒーは柄の長い専用の手鍋に入ったものが運ばれてきます。小さなカップに注いで粉が沈むまで1、2分待ってからいただきます。このカフェではルクミなどの甘い伝統菓子もついてくるのでぜひ味わってみてください。またギリシャコーヒーや他のおすすめの飲み物についてはギリシャのカフェで楽しむ飲み物の記事でも詳しく紹介しています。
<DATA>
■MOKKA (モカ) 英語サイトあり
住所:44 Atinas Street, Athens
TEL:210-3217063
営業時間:月~土曜 6:00~17:00、日曜 8:00~15:00 無休