世界遺産/ヨーロッパの世界遺産

ストーンヘンジ:謎に包まれた巨石文明の遺産(2ページ目)

ただ石が並べられているだけなのに、緑の草原に描かれた神秘的で美しいサークルは中世の人々の心を打ち、魔女や巨人の伝説を生み出した。巨石は最大50トンにもなり、250キロメートルも離れた場所から持ち込まれたものもある。その目的とは? 今回はいまだ謎に包まれたイギリスの世界遺産「ストーンヘンジ、エーヴベリーと関連する遺跡群」の歴史や観光情報・遺跡に込められた人々の思いを紹介する。

長谷川 大

長谷川 大

世界遺産 ガイド

得意ジャンルは世界遺産・世界史・海外情勢・海外旅行・哲学・芸術等。世界遺産マイスター、世界遺産検定1級文部科学大臣賞受賞。出版社で編集者として勤務したのち世界一周の旅に出る。現在は東南アジアを拠点に海外旅行を継続しながらフリーの編集者・ライターとして活動。訪問国数は約100、世界遺産は約250に及ぶ。

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謎を呼ぶストーンヘンジの石と形

サーセン・ストーンのサークル

かつては外側の石の列の上にサークル状にサーセン・ストーンが乗せられていた。現在残されているのはそのほんの一部

これに対して科学はどのような答えを出しているのだろう?

まず、石。ストーンヘンジは主にサーセン・ストーンと呼ばれる砂岩と、ブルー・ストーンと呼ばれる玄武岩で構成されている。最大で50トンにもなるサーセン・ストーンはストーンヘンジから30キロメートルほど離れた場所にあるマルバラーの丘から持ち運ばれたもの。ひとつ約4トンながら80個はあったと見られるブルー・ストーンにいたっては、なんと250キロメートルも離れたウェールズのプレセリの丘から運搬されたと考えられている(異説あり)。

そして形。かつては円形に囲われた半径約110メートルの土手(下のCGの白の外周)の中に、30もの巨大なサーセン・ストーンが直径30メートルほどのサークル状に並べられていた。この巨石の上には横石が乗せられ、円を描いていた(CGの青いサークル部分)。
ストーンヘンジの再現CG

何重もの同心円で構成されたストーンヘンジの再現CG。右上(北東)の長い矢印は夏至の太陽の昇る方向を示している

しかも石はただ乗せられているだけでなく、立石と横石は凸凹を組み合わせて接合されており(ほぞさし式)、横石同士は溝でつなぎあわされている(さねはぎ式)。

この円形の内側にブルー・ストーンが同心円状に並べられ、さらに内側には5組の門のような「Π」字型の組石=トリリトンが馬蹄型に設置された(上のCGの青い「C」字部分)。この内側にもまた同じように馬蹄型にブルー・ストーンが配されている。

なぜ、このような複雑なモニュメントが建てられたのだろうか?
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