神秘のピラミッド、エル・カスティーヨとマヤ人の想い
ククルカンを祀った神殿エル・カスティーヨ。チチェン・イッツァは5~7世紀に栄えた旧チチェンと、9~13世紀にトルテカ文明の影響を受けながら栄えた新チチェンに分かれるが、これは新チチェンのもの ©牧哲雄
タルー(傾斜壁)とタブレロ(垂直壁)を組み合わせたタルー・タブレロ式ピラミッド。エル・カスティーヨは「城砦」の意味で、スペイン人がつけた名だ ©牧哲雄
エル・カスティーヨの階段の段数は91。これが四方にあるので合計すると364。最上部の神殿の石段を合わせると365段で1年を表す。また、ピラミッドの各面は9層構造で、各層は階段を境に2層に分けられているので計18層。マヤ暦は1年=18か月だったので、月を表現しているわけだ。
この太陽暦=ハアブ暦と同時に、マヤの人々は1年260日のツォルキン暦を併用していた。365日と260日の重なる日が52年に一度訪れて、この年を災いの年として恐れたという。エル・カスティーヨの4面には52のデコボコがあり、この周期を表している。
エル・カスティーヨに登って周囲のジャングルを望む ©牧哲雄
ただ雨季の訪れを知るだけなら、もっと大ざっぱな技術でもよかったはずだ。「この世界はどうやってできているのか?」「世界の真理とは何か?」「人はなぜ生きるのか?」。そんな人々の想いが、チチェン・イッツァには込められている。