韓国語

「憧れの仕事」~K-POPライター 酒井美絵子さん(2ページ目)

K-POPライターは、韓流スターにインタビューしたり、コンサートのレポートを書いたりする職業。なんだかとてもきらびやかで楽しそうに思えますが、大変なこと、苦労されたことなどはあるのでしょうか。そもそも、どうやってこのお仕事を見つけたのか……。そんなあれこれをざっくばらんに語っていただきましょう!

幡野 泉

執筆者:幡野 泉

韓国語ガイド

ライター業に必要な能力は?

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韓国語ですぐ反応できる瞬発力が大事!と力説する酒井さん

まずは芸能人、マネージャーと話すコミュニケーション能力が必要です。そして、評論する力。「かっこいい」「歌がうまい」だけでなく、「R&Bの中でもこういった傾向がある」などの深い分析をしないといけません。よって、他の歌手、グループの楽曲や時代の傾向などを熟知しておく必要もあります。そう、業界の知識は当然必要ですね。

語学力、私の場合は韓国語ですが、やはり武器になります。もちろん、韓国語を知らずに韓流スターのライターをされている人もいます。でも、韓国語が分からない人は、他の知識力で勝負していますね。私は知識力を100%備えているとは言えないかもしれませんが、韓国語力があるので、それでカバーし、勝負できている気がします。

また、瞬発力も必要です。10分の間で様々なことをこなさないといけませんので。ここでは韓国語能力の上での瞬発力についてお話しさせていただきますが、日常会話レベルだと、この瞬発力面で問題がどうしても生じてしまいます。

彼らの心を開くのがいちばん大切なのに、受け取った韓国語にすぐ反応できず、「こういう意味かな」とじっくり考えたり、日本語に置き換えていたら時間がもったいないし、何より目の前の芸能人のテンションが下がります。

心を開いてもらうためには、友達と話しているような気持ちで話してもらえるようにする必要があるので、韓国語で考え、話し、聞き、韓国語で反応する。これはライター、芸能界だけでなく、すべてのビジネスにおいて必要なのではないでしょうか。

この瞬発力をどうやってつけるかですが、私はお風呂で一人インタビューをしています。韓国語で質問して、そのスターになったつもりで韓国語で答えるんです。「なに食べた?」でもいい。インタビューの前の日などは考えておいた質問を使って、相手の言うことを想定しますね。これは話す練習だけでなくて、韓国語で考える練習にもなりますよ。


仕事を得るために、必要なことは?

私は運が良かったのか、これまで周囲にどんどん話したり、人から紹介していただいたりして、人脈で仕事をいただいているような気がします。

こんなことがありました。以前、ロボット製作会社の通訳をしたんです。芸能、K-POP関係ではないですよね。でも、韓国まで付いていって、一生懸命通訳をしました。そうしたらその会社が映画会社ともお付き合いがあったようで、あとで映画パンフレットのライティングの依頼をくださったんです。どんな仕事でも「私には関係ない」と思わないで、一回一回の仕事、出会いを大切にしないといけないと思います。

一方で、人脈だけでいいか、というとそういうわけでもないですよね。私は元々アメーバブログにK-POPについていろいろ書いていたのですが、2009年にK-POPブームが来たとき、ブログをご覧になったanan(アンアン)やアエラの編集者の方から連絡がきたんです。それが縁となって、韓国関連の専門誌だけでなく、一般誌への仕事が増えました。やりたいことがあったら心の中にためておかないで、ブログでもTwitterでもFacebookでも発信していくのが大切でしょうね。


お仕事で苦労されること、失敗談などをお聞かせ下さい

苦労することですが、K-POPのアーティストは雨後の筍のように出てきています。一年で20組とも言われるくらい。それをすべて把握しないといけないのですが、20組もとなると、コンセプトも似ているため、ほとんどが同じに見えたりもします。これらをすべて事細かく調べ、勉強しないといけないのが大変ですね。

また、韓国は大らかな風潮というか、少し適当というか(笑)、こちらが「こういう衣装を着てきて下さい」「こういう質問をしますから準備をお願いします」と言っておいたことを、当日になって「聞いていません」「こんな質問があるとは知らなかった」と言われたりすることはよくありました。そんなときはこちらも「ま、この衣装でいいか」「仕方ないかな」など妥協するようにしています。

韓国で、帰国する当日の朝までインタビューが実現するかどうか分からなかったこともありました。インタビューが実現できたとして飛行機に乗れるかどうかなど、ほんとうにハラハラしました。

それと、人によってはインタビューに真面目に応じない人もいます。雑誌を読みながら適当に応答したりする方もいるんです。こちらが一生懸命話しているのにまともに答えてもらえず、いちどだけ顔を上げてくれたと思ったら「七夕って、なあに?」と言われたときは、ショックでした。そういうときも我慢(笑)。「自分がもっと面白いことを言わなければいけないんだ!」とふんばります。

失敗談としては、かなり高いサンダルを履いていって、インタビューをするアーティストの方が私よりも背が低かったときでしょうか。インタビューは相手をどれだけ良い気持ちにさせるかが大事なので、気をつければよかったと思っています。あと、ウケを狙って流行語を使ってみたら女の子はあまり使わない下品な言葉だったようで凍り付かれたこともありました。

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