フラット35は史上最低金利更新
専門家の予想をあざ笑うが如く株式市場は年初から二桁以上の下落となっています。株式市場に不透明感が漂うことから、株式を売って安全資産の国債を買うという資金移動が見られるようです。長期金利は、2月5日に一時0.595%という0.6%割れの水準まで低下しました。年初からの長期金利の低下を受けて、2月適用の住宅ローン金利は民間銀行の固定金利選択型、フラット35の適用金利も引き下げられています。フラット35の最低金利は、主力の返済期間21年以上は1.79%となり、これまでの史上最低金利2013年4月の1.80%を下回っています。
ただ、返済期間20年以下の最低金利は1.53%と2014年1月と比較して0.01%引き上げられました。返済期間20年以下と21年以上の2月適用金利は逆の動きとなりましたが、主力の21年以上が史上最低を更新したのですから朗報といえるでしょう。
主役は変動金利から短期固定へ
フラット35の返済期間21年以上の2月適用金利が史上最低金利を更新した一方、長期固定ではフラット35に勝ち目がない民間銀行は、2年や3年といった短期固定の金利引き下げを強化しています。主な銀行の適用金利を見てみましょう。みずほ銀行では2年固定の適用金利を店頭表示よりも2.1%引き下げ(当初固定期間経過後は、完済まで1.7%引き下げ)0.55%に。三井住友銀行は3年固定を店頭表示より2.2%引き下げ(当初固定期間経過後は、完済まで1.6%~1.7%引き下げ)0.75%に。三菱東京UFJ銀行も3年固定を店頭表示から2.35%引き下げ(当初固定期間経過後は、完済まで1.6%~1.7%引き下げ)0.75%としています。
変動金利の2月適用金利はいずれの銀行が0.775%ですから、短期固定の適用金利は変動金利を下回っていることになるのです。一昔前の定期預金の金利を覚えている人は、定期預金金利と見間違えてしまいそうな金利水準ですが、注意しなければならないのは、2年あるいは3年経過した後には、0.4%から0.75%も適用金利が上昇する可能性が高いということです。
2013年4月4日に日本銀行が異次元緩和を行った以降、短期の市場金利は瞬間上昇したものの、その後はほぼ横ばいに推移しています。言い換えれば、ほぼボトム圏で推移していると言ってもいいかもしれません。2年、3年後の市場金利、あるいは銀行の住宅ローンの店頭表示金利が変わらなくとも確実に、0.4%から0.75%の金利が上昇することになるのです。
仮に3000万円を返済期間35年、ボーナス併用なし、2年固定0.55%で借りた場合の毎月返済額は7万8540円、3年後に0.4%上昇して0.95%になった場合の毎月の返済額は8万3690円になります。年間では6万1800円の増加です。
3000万円を返済期間35年、ボーナス併用なし、3年固定0.75%で借りた場合の毎月返済額は8万1235円、3年後に0.6%上昇して1.35%になった場合の毎月の返済額は8万8970円になります。年間では9万2820円の増加です。
大して増えないと思うかもしれませんが、年収が増えていかない限りは、消費税や年金保険料の引き上げなどにより手取り額は減少。子どもの教育費の増加等々、家計の収支は住宅ローンを組んだ時と大きく変わっていることをお忘れなく。
なお、毎月の返済額はシミュレーションソフトによって変わりますので概算値と捉えてください。