テレビ/テレビの選び方

クアトロンを使い4K へ 新しいアプローチするシャープ

国内家電メーカーのテレビ事業は改善されたとはいえ、依然赤字が続いています。しかし“SHOW MUST GOES ON”、4K試験放送を来年に控え、意欲的な新製品が各社から発表されています。その中で一際注目に値するのがシャープのクアトロンプロ。一部では「3Kテレビ」などと言われていますが、シャープならではの技術の取り組みが見られる新提案なのです。

大橋 伸太郎

執筆者:大橋 伸太郎

テレビガイド

クアトロン方式の画素構造を活かした2Kで4Kの画面解像度
 

LC-42XL10

2Kパネルで4K解像度を達成したシャープクアトロンプロLC-42XL10



 

 

クアトロンプロは2K、つまりフルハイビジョンパネルで4K解像度を得られるテレビです。そのベースになるのが、クアトロンパネル。国内でテレビ用大画面液晶パネルを唯一生産するメーカーがシャープで、看板技術の一つがクアトロンパネルです。

一般のTFT液晶パネルは赤、青、緑のサブフィールドが一画素を構成し、バックライト光源の透過光を加色混合して階調を持った映像を描きます。それに対してアクオスの上級機種に採用されているクアトロンパネルは赤、青、緑に加え黄を含む4つのサブフィールドが一画素を構成しています。

その結果、非常に明るく、色域に余裕のある映像を描くことが出来ます。シャープが注目したのは、サブフィールドが偶数で、しかも赤、緑、青、黄という配列になっていることです。
 
クアトロン方式の模式図

通常の液晶パネルは青、緑、赤の3つのサブフィールドで一画素を構成するが、クアトロンは黄を加えた4つで構成する



光のスペクトルの中で比視感度(人間が明るさを感じやすい)が高く、エネルギーが豊かな波長は緑と黄です。クアトロンの場合、一画素を赤、緑、青、あるいは青、黄、赤の組み合わせで独立して動かした場合、水平方向に2つの輝度のピーク(緑、黄)を含むため、十分な明るさが得られます。

垂直方向も輝度を制御し明るさをキープする駆動技術(MPD)で上下二分割して駆動します。これらに液晶方式で使われる黒挿入(動画ボヤケを抑止する一種のシャッター)を組み合わせると、映像を表示させる画素が垂直水平共に仮想的に倍増、つまり2Kパネル(1920×1080)で4K(3840×2160)に相当する解像度が生まれるわけです。シャープはこれを「超解像分割駆動エンジン」と名付けています。シャープのクアトロンだからこそ出来る一種のファインプレイというわけです。

「でもそれでは、シャープも発売中の4Kパネル搭載テレビは要らないんじゃない?」という声が聞こえてきそうです。それでは次のページでは、クアトロンプロを実際に視聴した印象について報告しましょう。
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