絵本/海外の絵本・外国人作家の絵本

スリリングなだまし絵の世界『へんてこサーカス』

皆さま、ようこそいらっしゃいました。こちらは、『へんてこサーカス』でございます。おなじみのサーカスの演目に合わせておくる、不思議なだまし絵の世界を、どうぞ心ゆくまでご堪能ください。

執筆者:大橋 悦子

摩訶不思議な『へんてこサーカス』を見に行こう

おやおや、どこからか楽隊の音楽が聞こえてきますね? サーカスです! これまで見たことのない不思議なサーカスがやってきました。ようこそ『へんてこサーカス』へ。他では決して見られない、とっておきのサーカスの世界をお楽しみください。ピエロのパパドンが皆様をご案内いたします。

だまされる快感が詰まったトリック・アート

『へんてこサーカス』の表紙画像

頭クラクラ・目はチカチカの異世界がひろがる不思議な絵本

玉乗りや馬上のアクロバット、動物たちの輪くぐりなど、みんなが知っているサーカスの出し物に合わせて、たくさんのだまし絵が登場します。絵本を逆さにしたり、斜めから覗き込んでみたりするうちに、突然現れる不思議な現象の数々に目が点になってしまいます。「えっ、うそ~、なにこれ?」そんな読者の声が聞こえてきそうです。

白と黒のモノトーンで描かれただまし絵は、時にエナメルのような光沢のある黒が使われ、とてもお洒落です。巻末には、だまし絵発見のヒントとなる解説が添えられていますが、それ以外は言葉のない、見て、考えて、楽しむための絵本です。自分が「○○に違いない!」と信じていることが見事に裏切られる面白さは、ページをめくるたびに増大し、もはや、だまされることが快感にさえなってくるのは、私だけではないでしょう。

こうして、夢中になって絵本を見るうちに、大人も子どもも「絵本の中の何がイメージで、何が真実なのか……」 「自分の目が感じとったものは、本当に間違いのないものなのか……」 と、頭の中が、「?」でいっぱいになり、何度も何度も自分に問いかけながら絵本を見ていることに気づきます。これぞ、だまし絵の神髄ですね。

それでは試しに、みなさんも表紙画像を上下に動かしてみてください。中央の丸が、クルクルと動いて見えませんか? そこで質問です。今あなたが見たものは、丸の本当の姿でしょうか? それとも、私たちが騙されているのでしょうか?

【書籍DATA】
フェリケえつこ:作
価格:1680円
出版社:ほるぷ出版
推奨年齢:4歳くらいから
購入はこちらから


※参考
11月 アートな絵本を自由に楽しむ鑑賞ガイドにて『へんてこサーカス』を紹介しています。

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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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