テクノポップ/アーティストインタヴュー

電子音楽の先達、岩崎工~後編(2ページ目)

フィルムス、TPO、TAKUMI(ソロ)、そしてCM音楽、最近ではThe World of GOLDEN EGGSから生まれたバンドのバンマスとして、幅広い活動をしてきた電子音楽の先達的存在、岩崎工さんに登場いただきます。後編では、TAKUMI時代から、CM音楽、GOLDEN EGGSまで。11月20日にはイベント開催!

四方 宏明

執筆者:四方 宏明

テクノポップガイド

CM曲が先か、リリース曲が先か?

ガイド:
アルバム収録の「Myron」やドイツ語曲「Mein Schatz」はCMにも使われた曲。その後もCM曲を作られる事が多い岩崎さんですが、これらはCM曲が元になったのか、曲があってCMに使われたのか、どちらですか?

岩崎:
本当は、順番は大事で、タイアップとかが始まった時代で。どうせ、CMで使われるのなら、曲のクレジットが入っているといっぱい売れるとか。既にある曲がCMに使われる方が、曲としてはありがたがられるんです。CMとしてオーダーで作った方が、安くなっちゃう。僕の場合は、ものにもよるんですけど、「Myron」はスバルかな。「Mein Schatz」はレーベンブロイ。最初にCM用に作ったのを、曲が良かったので、ソロにも入れたいと。逆に大友克洋によるCanon T-70のCMに使われた「Fragments Of Time」なんかは、タイアップになるのが分かっていて、曲を作りました。あの頃は、絶対無理だと思うもの以外は、やっていましたね。

エキゾチズム

ガイド:
fragmentsoftime

Fragments Of Time

その後、4曲入り12インチ『FRAGMENTS OF TIME』(1984年)を発表されいます。B面全部に入った6分を超える「Wayane Karnu」、かっこいいです。今聴いても、そう感じます。長い曲ですが、そう感じないし、イントロ部分でワクワクします。タイトルも不思議なこの曲はなにかにインスパイアされたのですか?

 
岩崎:
これは、バリ島でできた曲なんです。「Wayane Karnu」というのは、 バリ島にそういう名前の女の子がいて、そのものなんです。7拍子なんだけど、ふらっとレンタルバイクで行った寺院で、カラカラカラと鳴る飾り車があって、それを聴いた時に、こんな風なリズムに聴こえて、割り切りがないものにしたくて、 それに笛っぽい音でシンセ音をつけたんです。僕の場合、英語で歌うというのもあるのですが、自分の中にアジアを吸収してつくるのではなくて、外側から見ているアジアだなと後で思ったんです。

ガイド:
だからこそ、出てくるエキゾチズムですね。

岩崎:
やっぱり、エキゾチズムというのは好きなので。後の時代でも中東ものに行ったりする時代もあるし。僕の場合は、洋楽を吸収した邦楽の人というのにはならないんですよ。

CD化の可能性?

ガイド:
残念な事に、この二つのリリースはアナログのみで、CD化されていませんが、やはりリリース元のSound Designが無くなってしまったから、難しいのでしょうか?

岩崎:
僕も出して欲しいと思っていて……僕が若くて、TPOに入っていたり、ソロもやって、CMの会社も専属でやっていたんで、契約上、Sound Designを離れる時も多少もめたということもあって、少しこじれた感情も残っていたので、出してくれないじゃないかなと。人づてに30周年だし、Bridgeとかから出すというトライもしていたんだけれど。良い返事は貰えずに、現時点では出せない事になっています。僕が大売れしたりすると、ビジネスとして割り切って出してくれるかもしれませんね。
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