語学留学のデメリット
1.ネイティブ・スピーカーとの接触はほとんどない海外の語学学校には、当然のことながら、世界中から「英語が上手になりたい人」が集まってきます。つまり、ネイティブ・スピーカーではありません。わたしが留学していたオックスフォード大学のある街にもいくつも語学学校がありましたが、スペインや中国からの留学生が多数を占めていたことを思い出します。
意外な盲点かもしれませんが、語学学校でネイティブ・スピーカーは、先生やスタッフだけです。クラスメイトといくら英語で話しても、お互いに間違った文法や語彙、表現を交換しているだけという可能性が高いことは言うまでもありません。ですから、いわゆる正統派の英語を学ぶには、日本で学んでいた方が有利な場合があるのです。実際、英字新聞の記者や同時通訳の方は、意外に「日本生まれ日本育ち」で、国内で学んだ方が多くいるのです。
前のページで指摘したように、ある程度英語の基礎が出来ている学生同士ならば、あえてネイティブ・スピーカーでない世界中の学生達と交流する意味が際立って来るでしょう。でも、英語でのコミュニケーションがままならない場合、日本人同士で固まってしまったり、英語を話すのがつらくて、日本語ばかり話したり聞いたりすることになる場合が多々あります。
2.経歴に+になることはほとんどない
語学留学をする目的に、就職に有利など「経歴にプラスになる」ことを挙げる人もいます。ところが、語学留学はその学校の修了証が出るくらいで、学位もなにももらえません。大学や大学院への留学ならば、英語力の証明はもちろんのこと、その専門性や国際性が認められてプラスの評価に繋がる場合がほとんどでしょう。しかし、企業英語研修に講師として関わった経験から申し上げれば、語学留学の経験は、企業側もそれほど高く評価しないという印象を持っています。
3.結局そんなに出来るようにならない
身も蓋もないことを言うようですが、1年くらい海外に語学留学したくらいでは、英語が飛躍的に伸びるということは考え難いのです。海外赴任で3年、5年とアメリカで過ごしたのに、英語はまったく出来るようにならなかったという例をよく聞きます。
繰り返し申し上げますが、日本で英語の基礎力を身に付けた人が海外に行くと、その知識が実践を通して磨かれて、飛躍的に「使える英語」にシフトすることがあります。裏を返せば、元々ないものが伸びることはないのです。
「日本で出来ることはほとんどした。あとは海外に行かないと身に付かない!」ということが、今日の恵まれた日本において、果たしてどれだけあるでしょうか。自分で出来る努力から目をそらし、楽をしたいだけで海外に行きたいと思っていないか?海外にさえ行けばなんとかなると思い込み、1日1単語でも覚える努力を怠っていないか?もう一度自問自答した上で、決断して頂きたいと思います。
まとめ
今回の記事では、あえて厳しいことを書きましたが、いかがでしたでしょうか。私自身がオックスフォード大学院に留学したのは30代になってからで、それまで海外経験は旅行も含めてほとんどありませんでした。それでも何とかなったのは、自分で考えだした「みずのメソッド」が役立ったのは言うまでもありませんが、いわゆる「学校英語」で身に付けた基礎が大いに役立ちました。ほんとうに語学留学が必要なのか、まだ国内で出来ることはないか、一度じっくり検討なさってみてはいかがでしょうか。それでも必要だ、と下した決断であれば、自信を持ってお進みになれると思います。