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映画『恋するリベラーチェ』上映中!(2ページ目)

11月1日、エミー賞受賞映画『恋するリベラーチェ』が封切られました。「あまりにもゲイ過ぎる」という理由で劇場用映画ではなくTV映画として制作されたそうですが、本当にゲイ的な、あまりにもゲイ的な作品になっています。その見どころを徹底解説!

後藤 純一

執筆者:後藤 純一

同性愛ガイド

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リベラーチェとは?

リベラーチェ(本物)

本当にゴージャスな衣装のリベラーチェ(本物)

世界的スターとして巨万の富を築き、とびきりゴージャスな生活を送っていたリベラーチェ。そりゃあ衣装もハデになりますよね。

リベラーチェは、プレスリーやマイケル・ジャクソンやマドンナが登場する以前の、アメリカのスーパースターでした。 

1919年、ウィスコンシン州でポーランド系アメリカ人の音楽一家に生まれ、幼少時からクラシックピアノのレッスンを受けました。その後、大恐慌の影響を受けてクラシックの道をあきらめ、1930年代にはナイトクラブやキャバレーでポピュラーな曲を演奏するようになります。1940年代にはアメリカ中に評判が伝わり、ロサンゼルスの高級店に引き抜かれ、50年代にはTV番組に出演したり、ホワイトハウスに招かれたりするようになります。(エルヴィス・プレスリーに衣装のアドバイスをしたという逸話もあります)

リベラーチェ(本物)

本当にゴージャスな衣装のリベラーチェ(本物)

その後、ピアノだけでなくゴージャスな衣装や派手なステージがウケて、アメリカだけでなく、イギリスや欧州諸国でも人気を博し、世界的スター(アイドル)となります。その稼ぎはハンパなく、こちらの記事によると、エリザベス・テイラーが『クレオパトラ』で手にしたギャラが100万ドルと言われた頃、その7倍(つまり7億円!)もの年収があったと伝えられています。

映画は1977年からスタートしますが、キャンデラブラ(枝付き燭台)が載ったピアノ、リベラーチェのスパンコール満載なキラキラ衣装(隣で見ていた女性が思わず「すごーい、すごーい」と思わず声をあげていて、まるで知念里奈さんのようでした)、そして超絶技巧で繰り出されるピアノ演奏の妙とトークの面白さ、その(ゲイテイストな)エンターテインメント性が余すところなく再現されていて、素敵でした。60近くなった当時もリベラーチェは現役バリバリで、ラスベガスのクラブ(ホール)でそうやってお金持ち相手にショーを披露していたんですね。

映画ではまた、リベラーチェがネバダ州(ラスベガス近く)に所有していたプール付きの豪華な邸宅も映し出されていて、まるで美術館のようにきらびやかな調度品がたくさん並んでいました。そうしたきらびやかさをリベラーチェは「キッチュ」とやや自虐的に表現していましたが、彼の「悪趣味」とも評されるハデ好みは、ちゃんとクラシックな美意識に裏打ちされていたと思います(決して下品ではなく、それでいてまぎれもなくゲイテイストでした)。だからこそ、大衆からも支持され続けたのでしょう。

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