ベルギー/ブリュッセル

ブリュッセル周辺の世界遺産

ベルギーを訪れる場合、空路でも鉄道でも、ほとんどの到着地はブリュッセル。そこで、まず、ブリュッセル周辺の世界遺産をご紹介します。

栗田 路子

執筆者:栗田 路子

ベルギーガイド

ベルギーの首都!ブリュッセル周辺の世界遺産

ベルギーを訪れる場合、空路でも鉄道でも、ほとんどの到着地はブリュッセルになるはず。そこで、アクセス至便! ブリュッセル周辺の世界遺産を紹介します。

ブリュッセル旧市街の中心『グランプラス』

ブリュッセルのグランプラス

ブリュッセルのグランプラス

プラスをパレスと間違えてお城と思う方がいますが、グランプラス(仏語、Grand Place)とは「大きな広場」、つまり、かつてテレビもインターネットもなかった時代に、市の中心地として、大事な通達や祭りなどの行事が繰り広げられた場のこと。こうした広場は、ベルギーだけでなく、多くのヨーロッパ諸国では、プラッツ、マルクトと名称を変えて、今も旧市街の中心に残っているものです。

こうしたあちこちにある『グランプラス』の中でも、ブリュッセルのそれが世界遺産となっているのは、12世紀以来のギルドハウス(パン屋、仕立屋、ビール醸造業者などの同業者組合の建物、但し現在残っている建物は17世紀に建て直されたもの)のゴシックやバロックの栄華を極めた建造物に囲まれ、ビクトル・ユーゴーをして「世界一美しい広場」、ジャン・コクトーをして「絢爛たる劇場」と呼ばせた圧倒される美を見せ付けるから。

グランプラスでは、早朝から夜中まで、天候や光の加減で様々な顔を見せるこの広場の美しさを堪能していただきたいもの。月木を除くほぼ毎日、早朝には、一族5代に渡ってここで花屋を営むジャンルイ・ヴァン・マルデルさんが季節の花々を広げ、昼前には、張り出されたテーブル席でベルギー・ビールに舌鼓を打つ人々が集り始め、夕刻には言葉を失うほど美しい群青色の空に市庁舎の塔が浮かび上がり、深夜まで数多くのイベントが繰り広げられます。

詳細記事はこちら>>>グランプラスブリュッセルのグランプラス/ベルギー

<DATA>
■Grand Place
アクセス:空の玄関口、ブリュッセル国際空港から、タクシーで約20分。空港ターミナル地下から電車でブリュッセル中央駅へ20~30分、ブリュッセル中央駅正面出口から徒歩5分陸の玄関口、ブリュッセル南駅から、タクシーで約10分。電車でブリュッセル中央駅へ約5分。

 

アールヌーヴォ様式の代表的建築家ヴィクトール・オルタによる主要な邸宅の数々、そしてストックレ邸(Stoclet House)

オルタの家は必見

アールヌーヴォ建築の巨匠オルタ

デザイン様式や建築に多少の造詣・興味のある方なら必見なのが、アールヌーヴォ様式の建築物。アントワープやその他の都市にもありますが、ブリュッセルでは、旧市街から多少離れたサン・ジル地区、アムビオリクス地区、イクセル地区などの住宅地に、今でも結構まとまって残っており、アールヌーヴォ散策マップなどが観光局で入手できます。やや郊外にあるのは、19世紀終り頃、炭鉱・鉄鉱などで冨を築いたブリュッセルのブルジョワ層が、その当時はまだ「新興」住宅地であった城外に、「建築家」を雇って自邸を建てさせたから。

その頂点に立つ建築家オルタは、自身のために建てたオルタ邸を始め、ソルベイ邸、タッセル邸、ヴァン・エドヴェルド邸などがほぼ完璧な状態で残されていますが、外から見ただけでは「オルタ色」と呼ばれる地味な色のクネクネしたデザインの窓格子や扉、ステンドグラスの様子が覗ける程度。中に入って、各部屋の家具や調度品、ドアの取っ手や鍵穴の隅々まで徹底した「アールヌーヴォ尽くし」をいつでも見学できるのはオルタ邸のみ。その他は、特別な文化財公開日などでなければ入ることができません。

ただ、オルタによる建造物は、個人邸宅以外なら、ブリュッセル中央駅、国立芸術堂BOZAR、漫画センター、小学校校舎(蚤の市広場の近く)などが街中に多々あるので、それらを鑑賞するだけでもなかなかです。なお、オルタの建物は今も著作権がからむので、外から撮った写真であっても、個人使用以外では、許諾申請と料金が派生するので要注意。

 

特別の日しか公開されない

ストックレー邸の外観

今では珍重されるアールヌーヴォ様式ですが、その隆盛期はたったの10年。あっという間に、改装されたり取り壊されたりし、アール・デコ、モダニズムへと変遷していくわけですが、その分岐点として評価されているのが、アドルフ・ストックレ邸(1905年)。銀行家であり美術品収集家でもあったストックレ氏に、建築家ヨゼフ・ホフマンが「デザインと金に口を挟まないなら」という条件で引き受けたというこの屋敷と道路の反対側に広がる庭は、幾何学美の最高峰と賞賛されていますが、ここも、内部を訪問できるのは、文化財公開日のみ。ブリュッセルでは、9月中旬の週末なので、サイトでチェックしてぜひ貴重な文化財を訪問しましょう。

<DATA>
Horta Museum(オルタ邸) 
住所:Rue Américaine 25, 1060 Bruxelles
TEL:+32 2 543 0490
交通:トラム81, 91, 92, 97番またはバス54番にて、Place Janson下車
開館時間:火~日曜まで14:00~17:30(入場は17:15まで)
閉館日:月曜および祭日
*その他の建築家オルタによる邸宅群は、イクセル地区などにある

■Palais Stoclet(ストックレ邸)
住所:Avenue de Tervuren 279-281, Bruxelles
交通:トラム44、39番にて、Jules César下車
*ただし、文化遺産公開日など特別の日を除いて内部および庭園の見学は不可能
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※海外を訪れる際には最新情報の入手に努め、「外務省 海外安全ホームページ」を確認するなど、安全確保に十分注意を払ってください。

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