小さな鶉にすぐに火を入れるとストレスを感じてしまうため、3回に分けて火入れをし皮をカリカリに焼いた衣をまとった胸肉と、パートフィロで包んだモモ肉を合わせ、2つの味と食感の違いを楽しめる一皿。桃のピューレとアーモンドを泡立てたエスプレッソソースとレバーソースが添えられていますが、まるで枯山水を彷彿させる美しく趣きのある盛り付けです。
前田シェフが「スノーディッシュ」と名付けた真っ白なお皿には、真っ白なお料理が盛り付けられます。真空調理で火を入れたフランス産の石平目と北海道産の白貝を、ホワイトアスパラのピューレとパウダー状の焦がしバターとともにいただきます。「お料理から色を抜く」という前田シェフの発想に、またしても驚かされ、その繊細な味わいに感動してしまいます。
ジューシーな阿蘇の赤牛には、ハーブと牛の骨髄をペーストにしたものをのせ、焼き上げます。和牛と思えない香りとなめらかな肉質、味わいになっているのは、手の込んだ火入れの賜物。表面を南部鉄器で軽くローストし、温度と湿度管理をしたスチームコンベクションオーブンで火入れをし、特別に開発した温蔵庫で休ませ、もう一度オーブンで優しく火を入れ、サラマンダーであたためて出しているのです。様々な香りをうつした牛脂を軽くかけることで、より一層風合いが増し、その美味しさが引き立ちます。
愛媛のブラッドオレンジのゼリーにリキュール「ピムス」のグラニテをトッピング。爽やかな柑橘系の味に、口の中にあったこれまでの濃厚な味わいの記憶がサッと消えてリセットされます。
ふわふわのアプリコットのスフレは、バローナのホワイトチョコレートのアイスクリームを入れていただきます。アプリコットとチーズの組み合わせはよく見かけますが、アプリコットとホワイトチョコレートという組み合わせは珍しく、酸味と甘みのバランスが絶妙です。
ホワイトチョコレートのムースとダークチョコレートのムースにビターチョコレートをコーティングしたものは、フィヤンティーヌが入り食感のアクセントも楽しめます。
ローズ色のアイスクリームは、ビーツのアイスクリームでバラの花びらのように見えるものがビーツを揚げたものです。先程のスフレといいチョコレートに組み合わせる素材の斬新さに意表をつかれたデザートでした。
トリュフは、ヘーゼルナッツ・ラズベリー×ライチ・ピスタチオ×オレンジの3種類。
シェフが自ら選んだお皿とともに色彩や盛り付けにも凝ったお料理はどれも目にも楽しく、食材の組み合わせと調理法に凝ったものばかり。とりわけお魚やお肉の火入れが繊細なのが印象的でした。そして何より、ストーリー性があり、サプライズの続くお皿の数々に記憶と余韻が残るコースでした。
【データ】
住所:東京都港区東新橋1-9-1 コンラッド東京 28階
電話:03-6388-8745 (レストラン予約)
営業時間:ランチ 12:00~14:00(L.O.)、日・祝日の月曜 12:00~15:00(L.O.)、ディナー 17:30~21:00(L.O.)
定休日:日ディナー、月
料金・内容/平日限定セットランチ3800円、5800円、ランチコース7800円、1万2000円、ディナーコース1万円、1万5000 円、2万円
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