大学生の奨学金/奨学金の基礎知識・トレンド

国の奨学金とその他、民間の奨学金の概要(2ページ目)

現在の保護者の方が学生の時代は、日本育英会という組織が奨学金事業を運営していましたが、その後、2004年に国の奨学金事業は日本学生支援機構に引き継がれました。現在では大学生の2人に1人以上が何らかの奨学金を利用しており、特に日本学生支援機構奨学金の利用比率は大学生の40%近くまでに上昇しています。数多くある日本の奨学金。それぞれの概要を簡単に解説しています。

久米 忠史

執筆者:久米 忠史

大学生の奨学金ガイド


その他の奨学金

日本学生支援機構の調査によると、全国には奨学金事業をおこなう4,000以上の団体があるようです。(日本学生支援機構「平22年度奨学金事業に関する実態調査報告」より)

そこで、日本学生支援機構以外の奨学金の概要について簡単に解説したいと思います。
図表

その他の奨学金

公的なその他の奨学金としては、地方自治体が大学生向けの制度を独自に運営している場合があります。地方自治体の奨学金は、貸与額や対象条件などが様々です。なかには地元にUターン就職すれば返済を減免するなど特色のある制度を設ける自治体もありますが、大半の地方自治体の奨学金は“無利子貸与型”の制度となっています。

民間団体の奨学金は給付型の制度が多いのが最大の魅力です。ただし、団体側が指定する特定の大学や医系、理系の学部生などと、募集対象が限定されることが多いのが少し残念な点と言えるでしょうか。

そんな中で、最も注目すべきは学校独自の奨学金です。先に触れた日本学生支援機構の調査では、2007年に1,053団体であったものが2010年には2,486団体とわずか3年間で2倍以上の規模になっているようです。学校独自の奨学金は、それぞれの大学で様々な取り組みが見られるので、これからの大学選びの大きなポイントになっていくでしょう。

特定分野の奨学金とは、おもに医療・福祉系の資格取得を目指す学生をサポートする奨学金です。この奨学金の大きな特徴として、国家資格を取得した後、決められた病院や施設で規定年数勤務することで借りていた奨学金の返済が免除されることがあります。つまり、「貸与型&給付型」の奨学金とも言えます。

新聞奨学金についても時々相談を受けることがありますが、個人的には勧めていません。むしろ注意を促すために講演でも取り上げることがあります。新聞奨学金は“働きながら学ぶ制度”の代表的なものと言えますが、メリットと同じくらいのリスクがあると考えています。

日本学生支援機構の奨学金にはいくつかのポイントと注意点がありますが、その他の奨学金についても同様です。それぞれの詳細については、機会を改めて解説していきたいと思います。
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