今では奨学金があたり前の時代?
「今や大学進学と奨学金はセットで考える時代になっている」そう聞いても、ピンとこない保護者の方は多いのではないでしょうか。
現在の保護者世代が奨学金に対して持つイメージとしては、「奨学金は成績優秀な一部の学生が利用できるもの」というものが一般的でしょうか。また、「奨学金と言っても結局は借金と同じだから借りるのが不安」、そのような声もよく聞きます。
しかし、今では大学生の2人に1人以上が何らかの奨学金を利用しているのが実情です。大学生の半分以上ということは、当然ですが、特に成績が優秀なわけではない多くの学生も利用していることを意味します。
2013年2月に発表された全国高等学校PTA連合会とリクルート社による合同調査では、保護者の方が重要だと考える情報の第1位が「進学費用」となったことが報告されました。
私は奨学金アドバイザーとして、毎年100回以上、1万人を超える保護者の方や受験生に対して、奨学金をはじめとする進学費用対策の講演活動をおこなっています。
保護者の方の最大の関心テーマがお金の問題であることは、先の調査でも明らかですが、実はそれ以外の面でも大学進学に不安を持つ保護者の方が多くいることを感じています。
「なぜ、保護者の方が不安に感じるのか・・・」。
それは、奨学金の仕組みだけでなく、現在の子どもたちを取り巻く進学事情が昔のそれとは大きく異なったものになってしまっているからだと思います。
高騰した学費や複雑化した入試制度など、子どもたちにとってはあたり前のことでも、保護者の方にしてみればわからないことだらけです。
そこで、まずは昔と今の進学事情の違いを簡単に解説したうえで、現在では奨学金がどのような存在となっているのか、順を追って考えていきたいと思います。
半数以上の高校生が現役で大学に進学する時代
文部科学省の学校基本調査によると、今から30年前の1983年度の高校卒業後の進路の1位は就職でした。当時の大学・短大進学率は29.7%。この数字には浪人生が含まれていませんが、それにしても大学進学者が少数派であったことがわかります。それが2012年度には53.1%と半数以上が大学・短大に進学しています。つまり大学に進学することが特別なことではない時代になってしまいました。
続いて、昔よりも遥かに高くなった学費と家庭の収入状況についてご説明します。