年賀状で「行事育」
今年の年賀状はどうしよう……もうそんな時期になりました。こうした季節の行事や習わしが、私たちの暮らしに彩りを添えてくれます。とりわけ子どもたちにとっては、日本の文化や心を学ぶ絶好の機会で、私はこれを「行事育」と呼んでいます。学びに溢れた年賀状作りは、ぜひ親子で。一緒にアイデアを練るのも楽しい時間です
年賀状は、正月文化の柱のひとつであり、礼儀やはがきの書き方を身につけるチャンスになりますから、親子で取り組んでみてはいかがでしょう。
年賀状で学べる、礼儀と絆
年賀状は年始の挨拶まわりを略したもので、年賀状ができたおかげで、遠くの方や直接お目にかかれない方々に対しても、年始の挨拶をすることができるようになりました。子どもにとっては、「どうして年の始めに挨拶しないといけないの?」「お正月ってそんなに大事なの?」「電話のほうが手軽だよ」といった疑問や意見があるはず。親が疑問に答えたり、親子で考えたりするうちに、礼儀のあり方や絆の大切さがわかってくると思います。
ひとつのヒントとして、「明けましておめでとうございます」と挨拶する理由を説明しますね。お正月には年神様という新年の神様がやってくるとされています。年神様は、農耕の神様でありご先祖様でもあるので、元旦に子孫の家にやってきて、新年の幸福を授けてくださると考えられています。だから、無事に年が明け、新年(年神様)を迎えられたということは大変めでたいことで、希望の未来が待っています。そこで、その喜びを「明けましておめでとうございます」と言って分かち合い、旧年中お世話になったことに感謝したり、本年も宜しくと挨拶するようになりました。
年賀状で学べる、はがきの書き方
最近はメールや電話で何事も済んでしまうので、手紙やはがきを書く機会が激減しています。だからといって手紙文化が無くなるわけではなく、はがきひとつ書けないと恥ずかしいもの。子どもの頃から折りにふれ経験させておきたいですね。とくに、年賀状や暑中見舞いといった季節の挨拶状は、ご縁を大事にし、思いやりに満ちた日本文化を象徴するものです。元旦に届くよう年賀状を事前に準備するのも、日本ならではの心配りといえるでしょう。年賀状を書くといっても、年賀状ソフトが充実しているので、手書きで宛名を書くことも少なくなりましたが、お子さんの場合、練習がてら手書きで宛名を書かせてみると良いでしょう。
年賀状で学べる、創意工夫
裏面に関しても、賀詞などの決まり文句や、書く内容を教えるチャンス。子どもならではの絵や文字を活かして、オリジナルの年賀状を作ってみましょう。親子で年賀状を作ってみると、たくさんのことが学べるうえ、貴重な思い出になります。20年後に懐かしく見返してみたり、孫と3世代で眺めてみたり……親子で作る年賀状が幸せな未来につながっていくと思います。
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