一級建築士の碓井民朗氏が選ぶ、いらないマンション共用施設TOP5とは? |
「仕分け人 妻に比べりゃ まだ甘い」
今ではすっかり恒例となった「サラリーマン川柳」の今年(第23回)の優秀作品100選が2月10日、第一生命保険から発表されました。毎年、笑いあり涙ありと、サラリーマンの心情心理が5・7・5の17文字にぎゅっと込められており、多くの方々が共感・共鳴していることと思います。
例年、サラリーマン川柳はその年の世相や流行語を織り込む傾向があり、今回は「婚活」や「草食系」「こども店長」、さらに「事業仕分け」をモチーフにした作品が目立ったそうです。冒頭の2作品は、事業仕分けを題材とした代表作です。
事業仕分けといえば2009年11月、447事業を対象に国の予算の無駄遣いが洗い出されました。2010年度概算要求から削減できたのは約8000億円と、その成果については未達感を残しましたが、“パフォーマンス”としては十分に政権交代(鳩山色)をアピールできたといえるでしょう。枝野行政刷新担当相のもと、4月下旬には第2弾が予定されています。「政治とカネ」にメスを入れる意味でも、注目していきたいところです。
さて、この事業仕分け、分譲マンションの共用施設についても当てはまると主張している人がいます。業界関係者なら知らない人はいない、ご存じ、一級建築士の碓井民朗先生です。同氏は「住いサーフィン」というサイトで毎週、「良識有るマンション指南」というコラムを連載していて、その中で
「このところ、政治の世界では税金の無駄遣いをなくそうと, 事業仕分けという名目で政治家が官僚に国のあらゆる事業の必要性の有無を聞き取り、無駄を省こうとしている。実は、マンションの共用施設も国営事業と同様で、いったん作り始めると中止できず、また、作る時の費用に比べて維持管理費用は莫大となり、結果的に維持管理費用の垂れ流しにつながっている」―― と警告しています。
つまり、マンション居住者の便益や実情を考慮しないデベロッパー側の一方的な企画設計は、ランニングコストの増大をもたらし、最終的に管理費や修繕積立金(=入居者)に跳ね返るとの主張です。引いては、マンションの資産価値にも悪影響を与えかねないということなのでしょう。これは看過できません。そこで、今回は碓井先生にご協力いただき、「こんな共用施設はいらない TOP5」をご紹介します。
クモの巣が張るキッズルーム あなたのマンション大丈夫?
では、さっそく本題に入りましょう。まず、第5位は「キッズルーム」です。新築当初は結構、使用されるそうですが、3~5年程度でほとんど使われなくなるようです。その理由を碓井先生に尋ねてみると、「子供達が成長して必要性が薄れるのと同時に、事故等が起きた際の責任の所在が明確でないことが原因」との返答でした。
「以前、築5・6年のマンションのキッズルームを見たことがあるが、使用頻度が少ないせいか鍵がかかっており、そのため掃除も行き届かずに室内はカビ臭く、クモの巣が張っているのを目にしたこともある」(同氏)といいます。何とも恐ろしい光景です。実に考えさせられてしまいます。
次に、第4位は「ゲストルーム」です。一見、ありがたい施設に思えますが、氏いわく「たとえば両親が訪ねてきても、ほとんどが子供の部屋(専有部分内)に一緒に泊まるか、あるいは近くのホテルを利用するそうだ」――。
ゲストルームとはいっても、ホテルライクな仕様には程遠いということなのでしょうか。事業主サイドにしてみれば、その分、分譲住戸を増やせばよかったということになります。完全な大誤算でしょう。もしかしたら、今後、新規マンションではゲストルームがなくなる方向へ動くのかもしれません。