「選択と集中」=「事業仕分け」が共用設備にも求められる


マンション市場 「建てたら売れる時代」はすでに過去のものとなっている。
碓井民朗先生が指摘する「いらないマンション共用施設」。続いて、第3位~第1位の発表です。

第3位は「フィットネスクラブ」です。「この施設には色々な種類のマシーンが必要になるため、そもそもイニシャルコストがかかる。その上、維持管理費も半端ではない」。さらに、「過去にジャグジーの振動が建物全体に伝わり大変なことになったマンションを知っている」と同氏は付言します。

健康意識は高まる傾向にある中、キッズルーム同様にフィットネスクラブも経年に応じて必要性が希薄化してしまうのでしょうか。充実した設備が完備されているのに使われないのだとしたら、宝の持ち腐れ以外の何物でもありません。実にもったいない話です。

続いて、第2位は「ラウンジ兼バー」です。「この施設はバーを切り盛りするスタッフの人件費や照明・空調費用、また掃除費も結構かかる」とのこと。これは分かるような気がします。タワーマンションの高層階に設けられていることが多く、かなり“贅沢”な共用施設に分類できるでしょう。

そして最後、いよいよ第1位が「温泉浴場」です。碓井先生によると、「この施設は温泉を循環させるためのポンプ等のメンテナンスにお金がかかり、また、脱衣室の毎日の掃除や冷暖房などの維持管理費も加わる、まさに“金食い虫”そのもの」と言い切ります。当然、すべて受益者負担ですので、最終的には管理費に上乗せされることとなります。

さらに、「親しい友人達と温泉に入るのは楽しいが、同じ住人とはいえ見ず知らずの人に自分の裸を見られるのは抵抗があるという奥様方の心理が分っていない」とも指摘しています。確かに、風情なリゾート地にあるからこそ、温泉としての価値があるという意見も聞こえてきそうです。そのせいか、今では共用施設として見かける機会がほとんどなくなりました。きっと事業主側が消費者ニーズの低下に気付いたからに他なりません。

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ひと昔前に比べ、現在のマンションは高層化・大規模化が進んでいます。並行するように、共用施設の充実も日進月歩です。しかし、碓井先生の指摘でも分かるように、“何でもあり”の時代ではなくなっています。「選択と集中」=「事業仕分け」がマンションの企画設計には求められている証拠です。デベロッパーには、よりターゲッティング(対象顧客の選別)とエリアマーケティング(市場調査)が求められてくるでしょう。

“建てたら売れる時代”はとっくに過ぎ去りました。市場規模の縮小を余儀なくされる中、消費者の声に真摯(しんし)に耳を傾ける謙虚な姿勢が欠かせなくなっています。


(まとめ) 碓井民朗氏が選ぶ、いらないマンション共用施設TOP5
 第1位.温泉施設
 第2位.ラウンジ兼バー
 第3位.フィットネスクラブ
 第4位.ゲストルーム
 第5位.キッズルーム
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