かつては王族などしか味うことのできなかった高級料理
■料理名北京ダック
■おすすめのポイント
北京ダックは、中国を代表するグルメと言って間違いないでしょう。日本ではまず食材として利用しないアヒルを焼いた料理です。パリパリに焼き上げられた香ばしいアヒルの皮は、北京を訪れたならば必ず一度は味わいたいものです。
今でも中国料理の中で、高級料理に位置づけられる北京ダックは、かつては宮廷料理として王族やその周辺に暮らす人しか味わえない料理でした。
起源を辿ってみると、南京地方の地方料理に遡ります。その料理を明の第3代皇帝の永楽帝が、北京への遷都とともに、北京ダックを新しい首都にもちこんだのです。
北京周辺では皇帝達の味覚を満足させるために、アヒルの口にパイプをくわえさせ、カロリーの高い餌や配合飼料を胃に流し込んで飼育し、丸々と太ったアヒルを育てたのです。これが北京ダック用のアヒルです。
宮廷料理の北京ダックを庶民が味わえるようにしたのは、便宜坊、全聚徳という北京ダック専門のレストランです。各々1855年、1864年に創業し、現在も営業を続けています。水飴を溶かした飴糖水を皮に塗り、一昼夜吊るした後に炉で焼かれたアヒルの外観はテカテカしています。
中国のレストランや、食料品店にはツヤツヤの肌をしたアヒルが吊るされているのをよく見かけます。パリパリに焼かれたアヒルの皮を削ぎ切り、薄餅(バオビン)または荷葉餅(ホーイエビン)に、ネギ、キュウリや甜麺醤と共に包んで食べると、香ばしく中国の食文化に触れることができます。