料理は5500円と9500円のコース
ワインリストは高級レストラン価格になっており1万円以下で逃げ場を探すにはかなり苦労を伴う。今や初台は高額ワインを好む客層が住む街になっているのか。ソムリエに聞くと、自分の好きなワインをとにかく集めた、と。それはそれでいいではないか、この姿勢。ことブルゴーニュに関しては特に際立ち、リストを見ていると料理とのマリアージュを意識しない、いい意味で強気のグランヴァンが静かに開栓を待っている。ここでは料理は料理、ワインはワインなのである。すぐそこにシェフがいて調理工程がほぼ見える
スパイスが味覚を刺激するが、もう少しボリュームも欲しいところだ
ソースのないフランス料理の時代が来るのだろうか
柔らかく優しい味わいは今も記憶に残る
メインはハーブ豚のロースト。低温でゆっくりと火が通され、優しい味わいに仕上げられている。敷かれた玉葱の甘さとのマリアージュも悪くはない。そこにストウブ鍋で蒸された根野菜が添えられる。というより、鍋から自分で好きなものを取り分けるスタイルになっている。結果、こういう料理に仕上がるのである。
デザートの前にハーブ主体のサラダがボウルで作られてサービスされる。〆にサラダ。この時点では「へー」とは思ったが体内に取り入れる食材の順序としてはせめてメインの前ではないだろうか。ともかく、広島方面の契約農家から届くそのサラダは軽やかなドレッシングと共に野菜の旨味が強く優しく感じられる。苦味、甘みに加え、独特の草臭さといったらいいのだろうか。野菜の強さを意識してメインの後に出したとしたら、それはゲストに最初に伝えたほうがいいようにも思う。
野菜の香りは強烈だ
恐らく、これから見せ方や内容は変わっていくだろう。いきなり山の上に上がると酸欠を起こす。ゆっくりゆっくり自分なりのフランス料理を考えていくのだろうと思う。肉を焼きながらカウンターのゲストともたわいもない話をしていくことだろう。
帰り道、共に時間を過ごした友人から聞かれた。「最近はソースを使わないフレンチもあるのね」。私は酔って聞こえないフリをしてしまった。
■アニス
・住所:東京都渋谷区初台1-9-7
・TEL:03-6276-0026
・営業時間:
【ランチ】11:30~14:30
【ディナー】18:00~23:30
・メニュー:
【ランチ】
- Menu Dejeuner 1500円
- Menu d’Anis 3800円
【ディナー】
- Menu Diner 5500円
- Menu d’Anis 9500円
・サービス料・チャージ:夜のみ10%
・定休日:月曜日、第2日曜日