「10歳の壁」「小4の壁」の正体とは

 
10歳の壁とは?

10歳の壁とは?


「10歳の壁」は、別名「小4の壁」ともいわれ、9歳から10歳の小学4年生の子どもの精神面・学習面の成長過程における関門の一つとしてとらえられています。この年齢の子どもは、心の発達過程においては反抗的になりやすく、環境面では勉強や運動も難易度があがるため、失敗したり、つまづいたりすることが多くなります。このような多方面において中々乗り越えられない壁ができる時期がちょうど10歳前後にあたることから、「10歳の壁」「小4の壁」と言われています。

この「10歳の壁」「小4の壁」という言葉を小学生のお子さんを持つお父さん・お母さんなら、懇談会などで一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。今回は「10歳の壁」「小4の壁」とは何か、その正体と向き合い方についてお話しします。

精神面の成長過程の関門「10歳の壁」

 
10歳頃の子どもは「ギャングエイジ」とも呼ばれ、子ども同士の独自ルールやつながりから、他人や社会と関わることを学びはじめます。

10歳頃の子どもは「ギャングエイジ」とも呼ばれ、子ども同士の独自ルールやつながりから、他人や社会と関わることを学びはじめます。


精神面の「10歳の壁」とは、「子どもが新しい人格を手に入れる」「もう一度生まれ変わる」などと解釈されていました。それだけに、「うちの子扱いにくくて本当に困っちゃう」なとどいう声が聞かれる時期。

また男の子をお持ちのご家庭では、ちょうど「ギャングエイジ」と重なるため、より一層扱いにくさが感じられていたように思います。「ギャングエイジ」とは、排他的な遊び仲間を求める主に小学生ごろのことを指します。徒党を組んで何かをしたがる傾向が子どもに見られ、大変お母さんたちが振り回されやすくなる時期ともいえます。

ところが、昨今の「10歳の壁」は、この精神面での壁に加え、学習面の変化によるものも加わってきました。


環境の変化に伴って生まれた「10歳の壁」とは

 
学力低下の原因のひとつは「考える力」の低下

学力低下の原因のひとつは「考える力」の低下



最近の「10歳の壁」「小4の壁」は、精神面の成長過程に加え、学校教育のカリキュラム改変が大きく影響しているともいえます。それらのことも視野に入れて子どもと向き合う必要があります。

■学習指導要領の改訂による影響

日本では1980年代に、それ以前の知識偏重型の詰め込み教育から、ゆとりある授業による思考力の向上などを目的とした、学習指導要領に改定されました。
この学習指導要領に基づき、2010年頃までの学校では、授業時間が削減され、学習内容も優しくなりましたが、勉強についていけなくなる児童・生徒が急激に増加します。それがより顕著に表れたのが9歳~10歳、つまり小学4年生前後だったために、「小4の壁」と表されるようになりました。

学力低下は、実際の統計でも、日本全体が中位層より下位層の学力の生徒が増えていることなどが判っています。
学力低下の原因の一つに考えられているのが「考える力」の低下です。例えば、算数の場合、計算は得意でも、文章題になるとできなくなるといったような事例が目立ちます。「考える力」の低下の原因として、ドリルに依存した学習スタイルや、家庭会話の減少によるコミュニケーション能力の遅れなどが指摘されています。

この学力低下の問題を受けて、文部科学省は2009年ごろから、学習指導要領をさらに改訂。算数、理科は前倒しで新しいカリキュラムへ移行されました。

2009年以降は、授業時間も増え、学習内容が全体的に増加し、教科書は厚みを増し続け、カリキュラムの前倒し傾向が出始めました。とはいえ、急激に子どもの考える能力が育つわけもなく、子どもたちは、従来の内面的成長の関門である「10歳の壁」に加えて、学力面でも壁を感じる状況になっています。

文部科学省は学習指導要領を改定し続けていますが、「10歳の壁」「小4の壁」は今も存在し続けている、といった状況にあるのです。

 

「10歳の壁」とどのように向き合い、乗り越えるか

 
失敗から学ばせることも大切。

失敗から学ばせることも大切。


最初から正解を与え続けたら。人間はいったい、どうなると思いますか? はたして考える力は育っていくでしょうか? 答えは反対です。正解だけを最初から知り、実践し続けた子どもは間違うことが怖くなり冒険しなくなります。自分の能力以上の課題が来たときに、そこに対し「工夫して乗り切る」という力を持つことが難しくなるのです。

やり方を教えてしまうことは簡単ですが、それでは何も編み出さなくなります。編み出す必要がないからです。失敗しないで、難なくできてしまった子どもは、例えそれが自分の実力じゃないとしても(親から言われたことを実践し続けた結果だとしても)自分の実力であると勘違いして大人になっていきます。

その結果、何が起こると思いますか? 親の理解を越えたとき、もしくは自分の経験を越えたとき、大きな壁にぶつかって、乗り越えることができずに最悪潰れていってしまうこともあり得るのです。

何も与えられないということは、ある意味自由に何でもできます。失敗も多い代わりに、そこで得た経験は大きな財産となり「工夫して乗り切る」というスキルを身につけます。この「工夫」=「知恵」であり、この知恵こそがかつて日本が経済大国になってきた元でもあると考えられるのではないでしょうか?

与えすぎないこと。悩ませて、失敗させて、工夫することを子どもの体と脳に教え込むこと。それが結局は一番最短で「10歳の壁」を乗り越える攻略法なのかもしれません。


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※乳幼児の発育には個人差があります。記事内容は全ての乳幼児への有効性を保証するものではありません。気になる徴候が見られる場合は、自己判断せず、必ず医療機関に相談してください。