「9歳の壁・10歳の壁(小4の壁)」の原因と家庭でできる学習対策

「9歳の壁」「10歳の壁(小4の壁)」の原因と乗り越え方

「9歳の壁」「10歳の壁(小4の壁)」と言われる、学習面や生活面・心身の発達面でのつまずき。中でも勉強における壁の原因や対策とは

小学校中学年ころに見られる学習面や生活面・心身の発達面での子供のつまずき「9歳の壁」「10歳の壁(小4の壁)」とは、どうして起こるのか、具体的にどういう壁なのかを知り、家庭でできる対策を実践してみましょう。

【INDEX】  

「9歳の壁・10歳の壁」とは?

小学校の中学年では、それまで順調に育ってきた子どもでもつまずきが見られることがあります。生活面や心身の発達面でもつまずくケースがありますが、特に「学習」が原因となることが多いようです。

これは、一般的に小4くらいになると学びにおいて、抽象的な概念が必要となり、それに対応できない子どもが取りこぼされるようになるからと言われています。いくつかある教科の中でも算数がきっかけとなることが多いようです。

また、学習でのつまずきなどがきっかけとなり、勉強以外のことに興味が出てくることで、生活面、心身の発達における問題につながるケースもあります。そして同じような境遇の人たちが仲間となり、悪さなどをすることがあります。ちょうどこの頃は「ギャングエイジ」と呼ばれたりもします。例えば、コンビニなどで万引きをしたり、壁にいたずら書きをしたり、クラスでいじめを先導したりなどです。それらは場合によって警察が関わるような問題に発展してしまうこともあります。

 

「9歳の壁・10歳の壁」勉強でのつまずき原因1:抽象的概念が増える

9歳の壁・10歳の壁(小4の壁) は算数でのつまづきが多い

「9歳の壁」「10歳の壁」で学習面のつまづきは算数で多く、抽象的な考え方が増えたり、積み重ねが不十分だと影響が出やすいことが原因

学習における「9歳の壁」「10歳の壁」では、算数でのつまずきが多く見られます。これは、それまでは具体物をイメージするような学習中心だったものが、急に抽象的な考え方が増えてくることが原因です。

例えば、1年生では「みかんが5個あります。2個食べました。残りは何個でしょう?」というような問題。これは、実際に日常で体験できるようなことなので、頭の中で状況をイメージしやすいでしょう。このように具体的にイメージしながら学ぶ中で「40個のリンゴを8個ずつ箱に入れると何箱できるのでしょうか?」というようなもう少し難しい問題も分かるようになります。

しかし、小4で学ぶ「がい数」「変わり方」「角度」などは、子どもが学習内容をイメージしにくくなります。形として表しにくいことや実体験が少ないことなどが関係しています。

勉強におけるつまずきの原因はこのように「学習内容に抽象概念が増える」という面もあるのですが、それ以外にもいくつか原因があると考えられます。

 

原因2:低学年からの積み重ねが不十分だと、この時期に露呈する

低学年での学びの不十分さが露呈してくるのが、小学校3年生・4年生での学習内容です。例えば、2桁×2桁の計算では、10回程度の正確な計算が必要となりますが、1年生で学んだ繰り上がりの足し算や2年生で学んだ九九の習熟が十分でないことにより、正答できないのです。

小学校の中学年で習う単元、例えば「変わり方」の学習内容は理解できていたとしても、テストにおいて低学年で習熟しておくべき計算を間違えることによって、結果としては不正解とされてしまいます。

こういったことが続いてしまうと、子どもはどんどん学びから離れていってしまいます。

 

原因3:文章題で求められる読解力に対し、言語力が不十分

特にテストの問題文の意味を十分理解できないことが、学習におけるつまずきにつながることもあります。算数の文章題などが分かりやすい例です。算数の学習内容、例えば、計算のやり方などは理解しているけれども、文章問題を正しく式にすることができないことで不正解になってしまうというものです。

小学校中学年になってくると、算数の文章問題だけでなく、他の教科においても教科書やテストで使われる言葉が少しずつ高度なものになってきます。教科書やテストの問題文の中などに使われている言葉の理解が十分でないと様々な問題が生じてきます。

こういった言語力による問題は、何かのきっかけで一気に問題が表に出てくるものではありません。どのような言語環境にいるのかということがその子どもの育ちに日々影響を与え、少しずつ差が開いていきます。

例えば、同じクラスに在籍し、学校ではほぼ同じような経験をしている子どもがいます。家庭に戻り、一方の子どもは、家では全く本などの文字に触れず、ゲームなどに3時間程度取り組んでいます。もう一方は、ゲームもしますが、30分程度とし、毎日1時間程度本などを読んでいます。こういった毎日の家庭での過ごし方の違いが積み重なると、学年が上がるに従って、当然言語力に差が出てくることになります。

 

「9歳の壁・10歳の壁」家庭でできる対策1: 
学習内容と生活場面をつなぐ「スーパーは多彩な学びの場」

9歳の壁・10歳の壁 スーパーは学びの宝庫

「9歳の壁」「10歳の壁」への家庭できる対策としてスーパーの活用がある。スーパーは学びの宝庫であり上手に活用することで学びが深まる。

学校の勉強で抽象概念が増えてきたら、親が学習内容と生活場面をつなぐことをしてあげましょう。スーパーなどのお店には多くの学びのきっかけがあります

例えば、「がい数(およその数)」に関する内容では、「198円」の商品などを活用することができます。子どもに、その商品を3個買うにはレジでいくら必要か尋ねてみましょう。算数が苦手な子ども程「198×3=」を必死に暗算でやろうとします。そこで「がい数」の話をします。198円をおよそ200円として、それが3つなので600円になると説明してあげます。数を少しシンプルにすることで、分かりやすくなるという「がい数」の概念が実体験で学べるでしょう。
このように子どもと買い物などをしている時は、学びを深める良いチャンスです。

「がい数」の他、「小数」「分数」「割合」「単位」などの抽象的概念も、スーパーなどの生活場面と結びつけてあげましょう。子どもが学校でそういった学習内容に取り組んでいる、またはこれから取り組む予定になっているという際に、身近な具体物を使って少しだけ説明をしておくのです。こういったことが子どもの学校での学びの質を良いものへとしていきます。

そのためには、子どもがその時にどんな内容に取り組んでいるのかを親が知ることが必要です。学校から配られる「学年だより」には「行事の予定」などと共に「学習の予定」も書かれています。また、4月と9月には教科書が配布されます。これらにざっと全体に目を通しておきましょう。目次をコピーしたり、スマホで写真を撮っておいたりすることができればさらに良いです。

親がその時の子どもの学習内容を知っていることで、スーパー以外でも学習と生活をつなげることができるようになります。

 

対策2:子どもの言語能力の育成のために「親が自分のための本を買う」

言語能力の不十分さで学びに不都合が生じてくることを説明しました。この「言語能力」は、急激に力が付くものではありませんし、急激に力の差がついてしまうものでもありません。日々、どのように過ごしているのか、どのように言語と触れているのかということが結果として現れてきます。そのため、子どもが本を読み、言語に触れる機会を増やすことが大事になります。

本好きな子どもに育てる方法は、色々と紹介されていますが、私がお勧めするのは「親が自分のための本を買う」ということです。これは子どもが読むための本ではなく、自分自身(親)が読むために、自分が読みたい本を選ぶということがポイントです。

最近、本を買う際はアマゾンなどのネット書店を利用する方も多いと思います。私も大部分の本はネット書店から購入します。しかし、子どもの言語力を意識して親が本を買う際は、実際の本屋の方が効果的です。子どもと一緒に本屋に行き、親が自分のための本を買うのです。

親が自分の本を選んでいる間、子どもは子ども向けの本のコーナーで待たせても良いでしょうし、親と一緒に親の本選びに付き合わせても良いでしょう。そういった中で子どもが自分の興味ある本を見つけ「この本を買って」と言ってくれば、買ってあげてください。

また、本に興味を持てなくても、そういったことを月に1回でも繰り返しているうちに、子どもに様々なことが伝わります。親の姿は子どもにとって非常に大きな環境要素です。子どもの頃に本との関係が近くにある子どもは、その後の将来においても大きなプラスになります。

 

対策3:学習アプリなどとの上手な関わり方を学び、効果的に活用する

「9歳の壁」「10歳の壁」への家庭できる対策として、学習アプリの活用がある。スマホやタブレットなどを上手に活用することで学びが深まる。

9歳の壁・10歳の壁 学習アプリは使い方次第で良い学びにつながる

スマートフォンや携帯ゲーム機などと子どもの関わり方は、とても難しいものです。先ほどもゲームのやり過ぎで生活が乱れてしまう例を紹介しました。ただし、今の子ども達が生きていく社会では、確実にスマホなどの情報機器と密に関わりながら生きていくこととなるはずです。ある部分で悪者のように扱われるそういった機器ですが、上手な関わり方を学ぶことも重要です。

現在、学習用タブレットなどが普及してきています。良質なアプリなども随分と増えてきました。こういったタブレットなどを使った学習は、学校教育以上に家庭教育で効果を発揮します。
教師などがいなくとも正誤の判定ができるそれぞれの子どものレベルに合わせた問題に取り組むことができるなどが良さです。

また、間違えた問題を繰り返し取り組むことができるようになっているのも利点です。子どもは自分の苦手部分をじっくりフォローするような形で活用することができます。逆に得意な子どもは、学校の勉強の先取りのような形で活用することもできます。

特に苦手な子どもへの利用をお勧めします。例えば、算数が苦手な子どもがそれまでの学習の振り返りをしようとします。小4の子どもの場合、小2、小3のドリルに取り組むのが一般的です。子どもは小2、小3のドリルに取り組む必要性があるのは理解できるのですが、プライドのようなものが邪魔をすることがよくあります。

その点、学習用アプリなどではそういった部分が上手に作られており、子どもがスムーズに取り組めるようになっています。

なお「公文式」の教室では、各学年の学習内容をアルファベット(A、B、Cなど)で表しています。子どものプライドを邪魔しないような学習アプリの作りは、子どもの学習に応じた内容を個別に取り組んでいく公文式の工夫と同じようになっているものも少なくありません。


以上のように「9歳の壁、10歳の壁」における学習のつまずきは、親のちょっとした配慮で防いだり、小さなものとしたりすることができます。ちょっと難しい時期でもある小学校の中学年を上手に乗り越え、より良い育ちにつなげていくことができればと思います。


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