映画/口コミでおすすめのサスペンス・ミステリー映画(邦画)

摩訶不思議な迷宮のよう 「ツィゴイネルワイゼン」

物語は主人公の視点で綴られ、現実・夢・幻・妄想が入り混じります。物語が進行していくにつれ、主要人物の生死、そもそも存在していたかどうかさえ曖昧となっていきます。摩訶不思議な世界観ですが、その稀有の完成度のため、言葉で語り尽くせない魅力に満ちた映画になっています。

投稿記事

国内外の様々な賞を受賞した作品

■作品名
ツィゴイネルワイゼン

■監督
鈴木清順

■主演
原田芳雄、藤田敏八、大谷直子

■DVD販売元
パイオニアLDC

■あらすじ

放浪の旅を続ける奔放な男・中砂は事件に巻き込まれそうになるも、親友でドイツ語学者の青地に助けられる。

その晩二人は旅館で不思議な妖艶さを放つ芸者小稲と出会う。その後中砂は小稲と瓜二つで名家の娘・園と結婚する。

やがて園は中砂が持ち込んだスペイン風邪で死んでしまい、中砂は小稲と再婚する。青地は妻の周子が中砂と密会した疑念を抱くも中砂はシンナー中毒で死に……。

■おすすめの理由
映画をジャンルではない方法で分類する場合、語られる物語内に監督のテーマやメッセージが有るか無いか、という考え方があります。

99%以上の映画にはそれが「有」ですが、本作は後者でしかもとびきり少数派です。本作においては、ストーリーがキャンバスに、監督が映画上に表現したい感覚の様なものが絵そのものに、相当します。

この様な形をとる映画の大半はアングラ系かアート系(寺山修司、タルコフスキー等)です。

本作のユニークさは、その様な形態をとりながら娯楽(とは言え一般的なエンタテイメントとは異なる)として作品が成立している点にあります。

その稀有の完成度故、本作は80年の日本アカデミー賞、キネマ旬報ベスト1、さらにはベルリン映画祭で銀熊賞まで獲得しています。

これは一歩間違うと作者の独りよがりに陥りやすい映像表現の作品にかかわらず、摩訶不思議な世界観が一般の観客や外国人の心も掴んだということであり、ここが作品最大の魅力です。

物語は主人公青地の視点で綴られ、現実・夢・幻・妄想が入り混じります。

これは物語としてたまにあるパターンですが、さらに本作の場合、物語が進行していくにつれ、主要人物が生きているのか死んでいるのか、そもそも最初から存在していたかどうかさえ曖昧となっていきます。

■特徴と魅力は
  • 境界のぼやけ方の絶妙さ
  • 大正浪漫溢れる美術の様式美
  • 様々に解釈できる万華鏡の様な物語
  • 絢爛かつ奇態なイメージの横溢
  • 「食」「性」が「生」を、「異形なるもの」「鏡」が「死」を象徴
ですが、言葉で語り尽くせない魅力に満ちた映画ですので、ご自身の目でぜひご鑑賞を。
不思議で観たことがないタイプの映画をお探しの方に特にお勧めです。

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