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街を見守る手作り石仏群 高鍋大師(2ページ目)

宮崎県高鍋町に鎮座する石仏群。その数700体以上、高さ7メートルに及ぶ巨大なものも含む石仏群は、郷土を愛した一人の人物による情熱の結晶でした。

坂原 弘康

執筆者:坂原 弘康

寺・神社ガイド

石仏にこめられた祈りのメッセージ

石仏を彫る岩岡保吉さん

石仏を彫る岩岡保吉さん自身の姿を表した像

そしてもう一つ保吉さんの石仏群の特筆すべき特徴に、尊像名や製作年月日などと共に刻みこまれたメッセージがあります。漢字、ひらがな、カタカナを交えたそれらのメッセージは時を越えて、保吉さんの心を伝えてくれます。

その一つ「古墳ヲ敬エ(古墳を敬え)」のメッセージは高鍋大師を開いた動機を表したもの。当時、この地で頻繁に起きていた古墳盗掘に心を痛め、神仏をまつることによって先人たちの魂をなぐさめようとしたのです。

「あサ日(朝日)かがやく」 「くサ木(草木)くすりあり」と大自然に感謝し、「にこにこなかよくくらす人」 「エん(縁)をぬすんで(結んで)よいひととしらがなるまでくらすよに」と人々の幸せを願い続けた保吉さん。その祈りのメッセージは一文字一文字、強く心を打ちます。

保吉さんが約50年間の半生をかけて、己の信ずるままに彫り上げた神仏の数は700体以上。今も高鍋の街と人々を見守っています。
高鍋大師・みとコもん

神仏に混じって立つ『みとこモん(水戸黄門)』御一行の像。保吉さん「八十六才サく」。「人をたすけまわる」その姿は、半生をかけて求道の精神を貫いた保吉さんの思いを伝えてくれます

受け継がれる保吉さんの“こころ”

近年では保吉さんの石仏が新たな形で町おこしに一役買っています。それは高鍋町のマスコットキャラクターの『たか鍋大使くん』。

高鍋大師の石仏群の一つ『十一めんくわんのん』をモデルにした、同じくニッコリ笑顔が愛らしいキャラクターで日夜高鍋町の魅力をPRするために頑張っています。大使くん自身の人気も急上昇中で、MRT宮崎放送『いいね高鍋!大使くんが行く』といった冠番組やテレビCM、県内外のイベントへの出演、関連のお菓子やグッズの販売など、活躍の幅を広げています。

そして高鍋大師では保吉さんの石仏を後世に伝えていこうと地元有志の方々を中心に石仏の修復活動や桜の植樹、遊歩道の整備などの活動が行われています。きっと数年後、美しい桜の花が満開の中、楽しく宴を開く神様仏様の姿を見ることができるでしょう。

これからも保吉さんの“こころ”は語り継がれていきます。
高鍋大師・十一めんくわんのん

十一めんくわんのん。通常、十一面観音は様々な表情で表現されますが、保吉さんの観音様はみなニッコリ笑顔です

たか鍋大使くん

宮崎県高鍋町のマスコットキャラクター・たか鍋大使くん。こちらもみんなニッコリ笑顔!

<DATA>
■高鍋大師
住所:宮崎県児湯郡高鍋町大字持田
TEL:0983-22-5588(高鍋町観光協会)
ホームページ:http://www.kankou-takanabe.com/
地図:Yahoo!地図情報

■たか鍋大使くん
TEL:0983-22-1333(高鍋商工会議所)
ホームページ:http://ttk1105.miyachan.cc/
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