和製パンクの異端児、流血ブリザード
流血ブリザード
セカンドアルバム『イカの天プラ』
『殺害塩化ビニール』というゲテモノレーベルに所属し、和製パンクの異端児として下品かつ過激なステージングで知られるキワモノバンドだ。
今回お届けするのはその中心人物ユダにおこなったインタビュー前編。
とりあえず東京での近況など
ガイド:この前(2013年8月18日早朝)は偶然でしたね。朝帰りの大阪駅でユダに会うとは思ってませんでした。流血ブリザード・ユダと大阪駅にて 両端の二人はスタッフのバーバラ、きゃりちゃん
ユダ:びっくりしたな、最初どこのおばはんか思うたわ。
ガイド:関西から引っ越してしばらくになるけど、東京の生活はどうですか?うどんが真っ黒けで塩辛い街だと聞いていますが……
ユダ:東京でうどん食うたことないから実際そうなんかは知らんけど。 まぁ楽しくやってるよ、休日はカフェ巡りしてパァァァァンクに過ごしてますわ。
そらやっぱり関西帰った時には地元最高やなって思てまうけどな。
ガイド:やっぱりバンド活動する上では関西よりやりやすいですか?
ユダ:なんやいうても大阪でのGIGの方がノリがクレイジーで爆発する感じやけど、そらどこのバンドでもそうや思うで。大阪超える盛り上がりなんて日本中どこ探してもないやろからな。でも流血ブリザードは東京行ってからの方が活動の幅は広がったと思うね。大阪時代の方がむちゃくちゃはできてたけどな。
流血ブリザードのステージ
最近歌謡曲は聴いてます?
ガイド:まぁ、そんな感じでぼちぼちインタビューを始めていきますが、なんで「演歌・歌謡曲」のコーナーで『流血ブリザード』というコアなパンクバンドを扱ってるのか、読者の人は意味わからないでしょうね。僕的には「パンクも流行音楽の一つだから、"歌謡曲"の範疇」なんですけどね。そう言えばユダは最近、歌謡曲とか聴いてますか?
ユダ:アン・ルイスとか百恵ちゃんとか。あと歌謡曲やないかもやけどきゃりーぱみゅぱみゅのコンサート行った。
現代日本のパンクシーンってどうですか?
ガイド:読者の方にわかりやすいように言うけど、僕は流血ブリザードに、川柳、初期演歌、見世物小屋に通じる古来からの日本的な反骨の要素を感じているんですね。下品だったり過激だったりするんだけど、だからこそ観たり聞いたりしたらスカッとしたり、はたまた心の暗黒面に向き合えたりして面白い。
僕は現代のパンクバンドの大半が大嫌いなんです。メジャーになったバンドは愛、青春、家族とかふぬけたこと歌ってるし、コツコツとライブハウスでやってるマイナーバンドも「革ジャン、セディショナリーズに南京錠してたらパンク!」みたいなセンスの無い懐古主義者がほとんどだし。
とにかく今"パンク"を名乗ってる奴やパンクスに見える奴の大半はパンクじゃない。
その中にあって流血ブリザードは珍しく、賢く真面目にパンクしているなぁと思ってるんです。ユダは今の日本のパンクシーンにどんな感想を持ってますか?
ユダ:自分自身、なんちゃらのシーンみたいなもんに仲間入れてもろたこともないからどこのことをパンクシーンていうのかも分からんわ。そういうシーンがあってそこが盛り上がってんのか衰退してんのかも知らんし、どうでもええな。自分に関係ないことは興味ない。シーンどうこうより自分がどうかってことだけが大事や。
仮にみんなして同じ格好して一緒のような歌ばっか歌ってたとしたらそれほどダサいもんはないやろ。別にパンクが滅びても俺がおったらそれでええと思ってますわ。
セカンドアルバム『イカの天プラ』 なんで?
ガイド:ではそろそろ本題に入りましょうか。9月27日にリリースされるセカンドアルバム『イカの天プラ』ですが、なんでこのタイトルなんですか?『いかすバンド天国』をもじったのかなぁと思いましたが、何か深い思惑とかあるんでしょうか?
ユダ:その通り!もう一度アイドルの天下からバンドブームを取り戻そうぜ!っていう熱い気持ちを込めて…て言いたいとこやねんけど実は後付けやねん。
前作、“わしのイチモツ”と同じ語呂のもんで統一したかっただけっていう。
他候補は“アリノトワタリ"とか…。MEANINGの隼人君に「イカ天やん!」言われて あ!ってなって、そっから後付けしてます。
ガイド:リリースの間隔はファーストから約3年たっていますね。
その間、バンドの活動自体は上向いて行ってたと思うんですが、もっと早めにリリースすることは考えていなかったんですか?
ユダ:ちょこちょこスプリット出したりオムニバスに参加してたりはしてんねんけど。目先のGIGに追われる日々で気付けば三年も経ってたっていう。
そもそもうちはみんな音楽のこと分かってないから簡単な一曲作るだけでもめちゃくちゃ時間かかるねん。しかも楽器は弾けん、ドレミも分かってない俺が全曲作っとるからな。そらこんくらいかかっても不思議やない(苦笑)
ガイド:以前に比べて、ポップなものはよりポップに、激しいものも演奏が固まって聞きやすくなってますね。上手くなってて、おっ!と思いました。
曲作りやレコーディングはどんな感じで進めていたんですか?
ユダ:今回ドラムにマッシュザドランカーていうサブメンバーが参加してくれてるねんけど、こいつはドラム上手い!おかげで全曲勢いあってええ感じに迫力出せたわ。
あと、いつもGIGでドラム叩いてるキャットブード★TOJIKOMEがギターにまわってるねん。TOJIKOMEは別バンドではギター弾いてんねんけど、結構うまくてええフレーズ弾いたりしよるからこのアルバムではギターで参加してもろた。聴けば分かるけどちょっとしたソロとか味があってええで。せやから今回ギターはミリーとTOJIKOMEのツインやな。
それによって今までのメンバー編成やったらパンクオンリーなセンスになるところに一工夫できて音楽的にも幅が広がった。コーラスに関してもゲンドウミサイルの夜桜極蔵さんとかザ・クレイジーSKB社長とか豪華な面々が渋いシャウトいれてくれた。
ガイド:歌詞に関しても、下品だったり不謹慎なものも相変わらず多いけど、まだ放送コードにギリギリ引っかからない範囲のものが増えてますね。ファーストアルバムは一曲しか放送できなかったし(笑)
歌詞の表現に関して、なにか意図はあったのでしょうか?
ユダ:いろんなところで流せる曲にしたいという気持ちがあったっていうのはある。
でも、それでもそこらで流れてる曲よりはどギツイとは思うけど、露骨にエグいのんは1stの時にやったし、せっかくセカンド出すんやから全く同じことやってもつまらんから。延長線上にあるものと今までにはなかった要素をミックスさせた結果こうなったいうことかな。
ガイド:CDを手に取ってほしいターゲット層は想定していますか?
ユダ:俺の家族以外の日本国民全員。みんなに聴いてもらいたいねん、それくらいええもんできたしな。ミリーなんかは特に中高生のガキに聴いて欲しい思てるみたいやわ。
後編に続く