流血ブリザード、ユダ インタビュー後編

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セカンドアルバム『イカの天プラ』

2013年9月27日に待望のセカンドアルバムをリリースする流血ブリザード。

『殺害塩化ビニール』というゲテモノレーベルに所属し、和製パンクの異端児として下品かつ過激なステージングで知られるキワモノバンドだ。
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流血ブリザード

今回はそのボーカルにしてバンドの司令塔、ユダにおこなったインタビュー後編。

前編はこちら

1.『嗚呼、鬼畜讃歌』

ガイド:曲ごとにいろいろ聞いていきたいと思います。

一曲目は……軍歌風と言うか……応援団風というか……安っぽいシンセの伴奏も相まっていよいよカルトな雰囲気をかもしだしています。

まだコント集団で十人くらいいた頃の初期流血ブリザードのイメージに近いですね。『魁!!男塾』みたいな。

ユダ:まさしく。

この曲の原型はほんまに流血ブリザードが男塾のような格好でコントやってた時に作ったもんで、まだ俺もユダではなく陸堂ヒロミと名乗ってた(笑)。当時は違う歌詞でアカペラで歌ってたけどな。

2.『流血ブリザードのテーマ』

ガイド:流血ブリザードのイメージに相応しい、ストレートなハードコアパンクと言ったところでしょうか。

"テーマ"ってことはけっこう昔からライブでやってたんですか?

ユダ:鋭いね。

そう、流血ブリザードがバンドになってすぐにできた曲やね。昔からあるのに歌詞がなかったっていう……、ミリーがリードボーカル取る曲やねんけど、一体あいつは何を歌てたんや(笑)

単純な曲やし、もっと凝った曲が生まれてからはお蔵入りしててんけど、今のメンバーが 聴いて「これかっこええやん!やろや!」言いよったから復活を遂げたってところやわ。

4.『D×I×Y ~Dokomademo×Itibiru×Yatsu~』

ガイド:これまでとはうって変わったポップなパンクナンバーですね。カラオケでも歌えそうな。個人的には『JOHNNY ROCKETS』を思い出してしまいました。

歌詞の「出る杭は打たれると言うけど 出過ぎたらもうだれにも打たれない」というフレーズも印象的ですね。

「どこまでもいちびる奴」というのはユダ自身のことが反映されているのでしょうか?

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流血ブリザードのステージ


ユダ:ほんまによく見抜くなー。

そう、この曲のモデルとなってる"いちびり"は 俺と前のドラマーのソドムやねん。そら、いちびってたらバンバン叩かれて嫌な目に合うし嫌われたりもするけどステージに立つ人間がいつも卑屈でどないすんねん!と。いや別にステージ立つ人間やなくてもスベることを恐れずガンガン前に出ていかなあかん。いちびり大いに結構やないかと。

でもクレバーに生きてくためには誰かのサイズに合わせて自分を変えることも大事やねんで~、ってことも言うてる、どないやねん(笑)当初、俺なりのOi PUNKのつもりでこしらえたんやけど思いがけずポップになったな。

6.『ババアキーポンスタンディング』

ガイド:電車でババアに席を譲らないという強固な意志が伝わってきますね。
僕もどちらかと言うとしんどそうな顔してうつむいてスルーするほうですが……。なにか具体的な経験が元になっているのでしょうか?

ユダ:いつもやってるメンバー紹介で「ババアに席は譲らねぇ、関東一根性の腐った男~!」言うて自己紹介してるからそんな歌も作ろうかと。それだけ(笑)。

フィンランドのハードコアパンク意識やねんけど、よく聴いたらフィンランド語やなくてめちゃめちゃしょうもないこと言うてるやんけ!っていうギャグやねん。

「立っとれー!」いう語呂がフィンランド語の歌に言い回し似とるんちゃうかなと。
まぁ、うちにほんまのフィンランドのハードコア知ってる奴なんておらんから勝手なイメージの中のフィンコアやな。パンク博士みたいな奴が聴いたら怒りそうなもんを敢えて作ったった。

でも割込みとか平気でしやがるムカつくジジイ、ババアに出くわした時は是非この曲で鬱憤晴らしてくれれば。

7.『ポリスマストダイ』

ガイド:2013年2月に発生した警察官によるユダへの暴行事件が元ネタですね。ガジェット通信でユダのインタビュー記事を書いたら、TwitterやFacebookで1000件を超える拡散があってびっくりしました。

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ガジェット通信に掲載された記事


ユダ:アンチコップソングなんてそれこそタカノリが嫌いそうな教科書通りのパンクみたいやけど、あの事件がきっかけで遂にウチもチャレンジしてみたわ。

せやけど歌詞を含め内容は流血ならではのエッセンスがきっちり入ってて、ベタな表現は避けれたと思う。自分や知り合いの実体験を元に書いてるから内容もリアルやし、メロディもええ。

極上のパンクソングができた思う。途中出てくるセリフの言い回しがミソやね。

8.『バッドスメルホールラブ』

ガイド:イントロがシーナ&ザ・ロケッツの『レモンティー』みたいでちょっと好きでした。

ユダ:ほんま? シーナ&ザ・ロケッツは全然意識してなかった。

でも元々はZEKEみたいなアメリカのハードコアを意識して作ったんやけど、メンバーみんなで固めていくとまた全然違う仕上がりになったな。

歌の内容は「据え膳食わぬは男の恥」てこと。今んとこは思った以上に男性の共感を得れてる感触がないねんけどな(笑)

11.『ユートピア』

ガイド:ビジュアル系バンドのような耽美的で内省的な曲なのかなと思って聞いているといつの間にかやっぱりハードコアになっている、という凝った作りの曲です。
ユダはけっこう甘い声とかビジュアル系みたいに気色悪い声も得意で、シャウト声ともうまく使い分けしていますよね。

ユダ:実は七色の声を持つ男やねん(笑)

これも最初は俺が中高生くらいに流行ってたようなミクスチャーとかオルタナみたいなんを作りたかってんけど、TOJIKOMEのアイデアがかなり入ったこともあってヴィジュアル系の要素が強まったんかな。あいつは日本のポジパンとかヴィジュアル系が好きでもう一個やってるバンドもそっち系やし、それが反映されたんや思う。

途中、元メンバーのアトランティスのシャウトのパートがあるねんけどあいつはガチの鬼畜やからこの歌に見事にハマったね。アトランティスがおる時代にこれの原曲を一度披露したことがあんねんけど難しくてすぐお蔵入りしてん。このアルバムでやっと日の目を浴びたわ。そんな曲今回多いな……。

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元流血ブリザードメンバーで、現在SMアーティストとして活躍するアトランティス木田:右


13.『愛暴動』

ガイド:初期のチェッカーズ的な、くどくて甘ったるい曲調ですが、よくよく聴いてみると流血ブリザードならではのパンク風刺ソングに仕上がってると思います。

「お前と一緒になれたなら嬉しくてポゴダンスしちゃう」なんて一見ふざけた歌詞も、実は強烈な皮肉なのかなと。

ユダはもともと現代パンクスのふぬけた価値観とかパンク業界に対して冷ややかな視線を持った男だと思ってるんですが、実際どんな感じでしょうか?

ユダ:言うたら横浜銀蠅の“お前サラサラ サーファーガール おいらテカテカ ロックンローラー”のパンク盤みたいなノリで作った曲。

他のインタビュアーにも言われたけど俺の歌ってどこか 皮肉めいたパロディやオマージュが多くて、また離れたところで冷めて観てる俺がおるねんて。パンクがめちゃくちゃ好きや、せやから言うて盲信的に確立されたパンクスタイルを単に真似して貫くんは俺のすることではないと思ってて、なんぼ好きでも疑った視点でも見るし、妙な決まり事なんかはガンガン破ることを信条としてやってるから。

こんなんしたらパンクやない!とかパンクやったらこないせなあかん!とかやかましいねん。システムに反逆する音楽が一番システム化されてどないすんねんいう話よ。

そうは言うても悲しい話、パンクももう伝統芸能やから、結局は決まった枠があって、その中でちょっとしたハズし技をするしかもう残された方法はないんちゃうかなとも思う。

大体もう出し尽くされてるやろから。

まぁそうなるとつい大幅にハズし過ぎたり、ふざけ過ぎたりしてまうねんけど、それでもそういうパンクにすら逆らうみたいな姿勢でいることは大事なんちゃう。結局 “パンクの呪縛” を打ち破れと誰より俺自身に言い聞かせてるんやと思うわ。

おつかれさまでした

ガイド:僕とユダは一学年違いですよね。

二十歳過ぎで知り合ったけど、もはや僕が今29歳でユダが30歳。(※2013年9月中旬時点)

パンクにしても何にしても表現活動を続けていくのはそれなりの苦労があると思いますが、年齢による変化って感じますか?僕は最近、食べたら太りやすいので大食いできなくなりました。あと、自分の曲のコードが覚えられない。

ユダ:俺なんか元々歌詞覚えられへん。

そういや打ち上げ朝まではキツなったなぁ。もう終電越えたあたりからしんどいねん。あと年齢とはまた別の話かもしれんけどバンドを取り巻く状況も変わってきてるし、昔ほどのめちゃくちゃなことは出来にくくなってる。

大阪時代は生理ナプキン、納豆、卵、牛乳、椅子、ゴミ箱、爆竹、魚やなんやをステージから投げ込んだりしてステージもフロアもグチャグチャにして、ってまぁ今考えたらひどいことしてたなぁ……中には出禁になったとこもあったけどようハコも使わせてくれてたなぁ。

そこまでのことを今やる必要はあるかどうか知らんけどパワーダウンはしたくないし、初期衝動は忘れずに、変に落ち着いたおっさんバンドにはなりたくないね。

ガイド:まぁ、長く生きてるといろいろあるけど、とにかく前に進んでいくしかないですね。お互い頑張りましょう。

また次のリリースもインタビューよろしく。



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