国語の学力は?
国語A問題では、私立校の正答率が9割以上の問題を中心に、私立校、秋田、下位に低迷している大阪、そして全国の公立校の平均を比べてみました。まず、『「なぜ、そう思うのですか」という発言の役割について説明したものとして適切なもの』を選ぶ問題では、私立校の正答率が95.1%もあるにも関わらず、大阪は85.7%しかありませんでした。これは、「なぜ」と問われて理由を答える問題だということがわからない生徒が14.3%(7人に1人)もいるということを表しています。
その他にも、大阪に関しては、「キボウ(→希望)」「連なる(→つらなる)」の問題で80%台半ばの正答率しかなく、漢字の読み書きが不十分と思われる生徒がかなりいることがわかります。また、「二の足を踏む」「にわかに」という言葉の意味を答える問題でも、正答率が80%前後と、実に5人に1人が国語の読解力以前に読み書きのレベルで課題を抱えていることがわかります。高知や大阪など、成績が振るわない県では、根本的なところで課題を抱えていることがわかります。
一方で、学力トップの秋田では、漢字の読み書きでは、私立校の平均と遜色ありません。「二の足を踏む」「にわかに」という言葉の意味を答える問題こそ、正答率が90%に届きませんでしたが、公立校の平均を大きく上回っています。このように秋田では、私立校に負けないほどの基礎基本の定着がみられ、この基礎基本の定着こそが、応用力や活用力につながっていると考えられます。この点は、他県も見習って欲しいところです。
ただし、私立校、公立校を問わず課題と思われるのが、「キントウ(→均等)」と漢字の書きに関する問題の正答率の低さです。私立校でも正答率は79.6%しかなく、5人に1人が「均等」と書けないことがわかります。公立校トップの秋田でさえ66.9%(3人に1人が「均等」と書けない)しかありません。全国平均となると50%台にまで落ち込み、半数近い生徒が漢字を書くことに課題があることがわかります。
最近では、携帯電話やコンピュータの普及で、昔と比べ子どもたちが漢字を書く機会が減っています。こうした社会の変化が背景にあるとしても、日本人である以上、漢字の読み書きに関しては、すべての子が自信を持てる指導をして欲しいものです。
気になる静岡の学力は?
今回は、静岡が何かと話題になった全国学力テスト。全体的には基礎学力の底上げがなされており、復活から数年経った今、一定の効果があったと言えるのではないでしょうか。ちなみに、話題となっている静岡ですが、中学の国語も数学も全国平均をやや上回っており、それほど大きな課題を抱えているとは言えない結果と思われます。ただ、小学国語に関してはお世辞にも良い結果とは言えません。しかし、これも裏を返せば、他県の底上げがあったからでしょう。
全体的に学力が底上げされていたとしても、順位をつければどこかが最下位になってしまうもの。結果の数字に一喜一憂せず、学校も家庭も、今回の結果を今後の学力向上につなげることが大切ですね。