住民主導の再開発事業
産・官・学・民ですすめる複合再開発
Tomihisa Crossコンフォートサロン(販売センター)
ところが、新宿富久町の再開発は、1990年から住民主導で始まり、20年もの時間をかけて街づくりのための熟考が重ねられてきたといいます。というのも、バブル期のいわゆる地上げにより、無秩序に土地が売買されて虫食いのまま放置されたために、地元住民が「まちづくり研究会」を結成したことに始まり、新宿区や東京都などの行政や、早稲田大学研究員チームなどの大学の支持を受けて、時間をかけて市街地再開発の計画をまとめてきたのです。
2009年には「西富久地区市街地再開発組合」の設立が認可され、その前年に参加組合員として、野村不動産、三井不動産会社レジデンシャル、積水ハウス、阪急不動産の4社が事業に参加し、産官学民ですすめてきた複合再開発は、ここにきてようやく結実したというわけです。
組合設立を認可した東京都によると、事業の効果として「都市型住宅や生活支援施設等を整備して街の再生を図り、あわせて、地区内の都市計画道路環状第4号線を整備するとともに、広場等を設け、防災性や住環境の向上を図る」とあります。
広場や路地、大型スーパー、認定こども園などがそろう
様々な居住形態の住人が集まる街
ガイドはまず、現地に隣接するTomihisa Crossコンフォートサロン(販売センター)に行ってみました。最寄りの東京メトロ丸の内線「新宿御苑駅」を降りて、新宿通りから靖国通りまで歩き、靖国通りと外苑西通りが交差する富久町西交差点に着くと目の前にあります。見学ルートの最初は、シアタールームでTomihisa Crossの概要を紹介する映像と、そこで実現する暮らしを描いたアニメーションの2本立てを見ました。次が、模型コーナーと3つのモデルルームの見学です。
さて、Tomihisa Crossの大型模型を見ると、複合開発の内容がよく分かります。今回分譲される55階建ての「コンフォートタワー」と商業施設や保育施設(地下1階・1階)、地権者が住むペントハウス住宅(ペントテラス)、中層棟の賃貸住宅棟(グリーンレジデンス)が一体となって開発されています。
左:富久町西交差点側から見ると、右奥に伸びる環状第4号線が整備される様子が分かる 右:大型スーパーの上にペントハウス住宅が並び(左赤丸)、中層棟(地権者が所有する賃貸住宅棟)の上にもペントハウス住宅が建つ(右赤丸)
ペントハウス住宅は、よくある木造一戸建てとは違い、鉄筋コンクリート造りの専用庭付きの区分所有建物になります。そのため、Tomihisa Cross全体の管理組合があり、その下にコンフォートタワーの管理組合、商業施設等の管理組合、ペントハウスや賃貸住宅棟、全住宅の駐車場施設等の管理組合の4つの管理組合で構成され、全体で街並みや建物の維持保全などに当たることになっています。
ペントテラス1階には大型スーパー、1階の広場の下には認定こども園が入り、地域住人の利便性も高めています。また、コンフォートタワーの1~3階と43~44階には、購入者専用のタイプの異なるカフェやラウンジ、ゲストルーム、フィットネスルーム、防音ルームなどの共用設備が設けられます。
コンフォートタワー1階の共用施設の模型。イゴコチのよさを追求して、コミュニティデザインにも配慮。目線が合いにくいようにソファの形状や置き方、通路配置を工夫したり、奥へ行くほど利用人数が少ないタイプのラウンジを配するなど、ラウンジを利用しやすくする様々な工夫が施されている
>次ページからは、コンフォートタワーの住戸プランについて詳しく見ていきましょう。