住宅ローンの借り換え・返済/住宅ローンの見直しポイントはこれだ!

固定期間終了時の住宅ローンの見直し方

住宅ローンと上手に付き合うには、定期的なメンテナンスが必要です。その絶好のタイミングが、固定期間選択型の住宅ローンで契約している方は、その固定期間が終わるときです。住宅ローンの固定期間が終了する際の見直し方の一例をご紹介いたします。住宅ローン見直しのために用意する資料や現時点での自分の住宅ローンについて確認すべき事項についても解説します。

中村 諭

執筆者:中村 諭

住宅ローンガイド

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固定期間終了後、次はどのようなローンにすべきか

固定期間選択型の住宅ローンで契約している方が避けては通れない道。それは固定期間終了後、次はどのようなローンにすべきか再度悩むことです。本稿では、ガイドのもとに寄せられた相談事例を参考に、住宅ローン更新時の考え方を解説していきます。(実際の相談事例をもとに記事は構成していますが、数字については手を加えてあります)

固定期間終了時の住宅ローンの見直し方

固定期間終了時の住宅ローンの見直し方



相談事例

マンションを購入してもうすぐ7年という方のご相談内容をご紹介します。
● 相談者:50代ご夫妻

●現在の住宅ローン(購入時の状況)
  • 借入額:2800万円
  • 借入期間:30年
  • 金利タイプ:7年固定
  • 金利:2.75%
●相談内容
  • 来月には固定期間が終了するため、次のローンについて、「何を?」「どのように?」「何から考えたら良いの?」「何から手を付ければよいのか?」というご相談です。
●ご意向、返済計画
  • バブル景気を経験しているご夫婦にとって、金利上昇の怖さは身をもって経験していると言います。そこで、今後の住宅ローンについては、金利や返済額が変わらない固定金利のローンご希望。
  • また、7年後にご主人様が60歳を迎えるタイミングを機に、全額繰上げ返済を考え、購入当初から60歳完済計画で預金をしていらっしゃいました。

見直しのポイント

大切なことは、最初に住宅ローンを組んだ時と同じように、変動金利と固定金利のそれぞれの短所、長所をよく理解して、自分自身や自身の家計にとって、何が相応しいのかを再検討することです。住宅購入時に十分検討したので、再検討は不要と考える方もいるかも知れません。

しかしながら、この度のご夫妻の場合、7年という期間が経過しているわけです。固定期間が10年というご家庭もあるでしょう。住宅を購入した時と比べて、経済環境は確実に変化しています。ご家族の人数が増えたご家庭もあるでしょうし、お子様の教育費支払いが終了したご家庭もあるでしょう。さまざまなライフイベントがあり、住宅購入時とご家族の置かれた環境が、何一つ変わらないご家庭は無いはずです。環境の変化に応じて、選ぶべき住宅ローンの種類も変わって良いのです。その意味で再検討は必要なのです。

この度のご夫妻は、固定金利希望と意思がはっきりしていましたので、変動金利や短期固定金利の住宅ローンは選択肢から外し、固定金利を基準に考えていくこととしました。

住宅ローンの残り期間は23年ありますが、7年後に繰上げ返済を計画しているのであれば、残りの期間23年について、全期間を固定金利とする必要はありません。10年固定のローンを検討すれば充分です。比較検討するのであれば、もうひとつは5年固定のローンで良いと考えました。金融機関によって違いはありますが、更新時には選択肢に超長期固定金利がなく、10年が最長の固定期間という銀行があることも、10年固定金利を基準に考えた理由の一つです。

次にすべきことは、現在の住宅ローンの条件を正しく把握することです。お手元に次の資料を用意し、必要な情報を確認します。

借り換え後の適用金利が何%になるか確認

※()内は今回の事例

【住宅ローン見直しのために用意する資料】
  1. 住宅ローン申込時の銀行との契約書「金銭消費貸借契約書」
  2. 住宅ローンの返済予定表

【現在の自分の住宅ローンについて確認すべき事項】
  1. 固定期間終了後の優遇金利(1.0%)
  2. 優遇金利の適用の期間(全期間)
  3. 現在のローン残高(2430万円)
  4. 現在のローン残り期間(23年)

【現在借りている銀行の店頭金利調査】
  1. 10年固定の店頭金利(3.90%)
  2. 5年固定の店頭金利(3.40%)

【自分の適用金利の把握】
  1. 10年固定の適用金利(3.90%‐1.0%=2.90%)
  2. 5年固定の適用金利(3.40%‐1.0%=2.40%)

更に、この銀行でこれから新たに住宅を購入し、ローンを組む人たちの金利についても調べます。さて、ここで改めて、住宅ローンを借りている銀行に、自分の住宅ローン金利について「更新後の金利は何%になりますか?」と聞いてみましょう。

同じ銀行でこれから住宅ローンを組む人と、あなたに提示された金利差に納得がいかなければ、他の銀行に借換えることも検討してみます。
(この度のご相談者は、金利差が1.0%以上もあり、納得できなかったため、借換えを検討することになりました。)

借り換えを前提とした場合の「現在の住宅ローン」の取り扱い方

他の銀行へ借換えをするのであれば、現在の住宅ローンについては、そのまま何もせず放置状態で問題ありません。住宅ローンは、固定期間が終われば、次のローン内容を決めて通知することになっていますが、お客様から何も通知が無い場合は、「自動的に変動金利」に切り変わります。

優遇金利1.0%のご相談者の場合、変動金利になると1.475%(店頭金利は2.475%)が適用されます。変動金利の住宅ローンを、別の言い方に置き換えると「6カ月固定」の住宅ローンということもできます。住宅ローンの借換え手続きは、特に問題が無ければ6か月もかからないので、この「6か月」の間に手続きが完了すれば、問題ないでしょう。

住宅ローンの借換えは、最初に住宅ローンを組んだ時と同様に審査があります。また、登記費用などの諸経費も必要になります。これらの経費、手間暇をかける価値があるのか、費用対効果も検証して実行する必要があります。
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