通訳翻訳大学院について
韓国の通訳翻訳大学院には、以下のような機関があります。試験日、試験科目、必要書類など、上記の各学校のサイトを参考になさってください。・韓国外国語大学校 通翻訳大学院 (한국외국어대학교 통번역대학원)
・梨花女子大学校 通訳翻訳大学院 (이화여자대학교 통역번역대학원)
・ソウル外国語大学院大学校 通訳翻訳大学院 (서울외국어대학원대학교 통역번역대학원)
・釜山外国語大学校 通訳翻訳大学院 (부산외국어대학교 통역번역대학원)
・済州大学校 通翻訳大学院 (제주대학교 통번역대학원)
通訳士は、意思疎通や心の交流の橋渡し役
もっとも歴史が長く、入るのが難しいとされているのは、いちばん上の韓国外大ですが、梨花女子大も人気があります。その証拠に、現在この2校は試験日が同じ日なので、志願者は志望校をどちらかに決め、準備学院でそれぞれの学校の傾向に合わせた授業を受けたりしているようです。
通訳翻訳大学院で学ぶことは、日韓専門の通訳者を養成する学科の場合、通訳翻訳の技術を学ぶ授業に加え、日本語、韓国語(それぞれネイティブでも知らないような知識を学ぶ超上級レベル)の授業、専門用語の授業、国際関係論など様々です。
通訳技術を学ぶ授業で取り扱う題材もまた多方面に渡ります。文学、技術、経済、メディアから、医学、特許、IT、法律など専門的な分野まで。卒業し、フリーランスの通訳士になりうる素地を養います。
大学院修業経験者によると、先生方の指導はとても厳しく、授業内容が難しいのはもちろんのこと、予習、復習にも相当の時間と労力を費やすのだとか。クラスメイトと授業時間外に自主学習をし、お互いの弱点を指摘し合ったりと、切磋琢磨しあうこともあるようです。
卒業の際は試験があり、パスした人のみが卒業できます。パスしなかった場合、半年毎等に行われる卒業試験にチャレンジし続けることも珍しくありません。
大学院卒業後の仕事について
テーマから少し離れますが、気になる通訳翻訳大学院卒業後の話を少しだけいたしましょう。通訳翻訳大学院を卒業したからといって大学院が就職先や仕事を探してくれるわけではありませんので、自身が情報収集をし、道を切り開いていかないといけません。
通訳者としての仕事は、記事「韓国語を仕事に活かすには」(All About 韓国語)でも取り上げましたが、大きく分けて、「企業専属の通訳者」と「フリーランスの通訳者」に分かれると思います。
前者は給与が比較的安定するという点、その企業の事業分野に限られた通訳をすることになるので、比較的慣れやすい点などがメリットですが、当然のことながら別の通訳や翻訳の仕事を請け負うことに制限があり、他分野の訓練を積めないというデメリットはあります。
後者は安定した給与はないかもしれませんが、実力を認められ、仕事を多く請け負うことになれば、報酬は会社員より満足いくものになる可能性も秘めています。通訳・翻訳を斡旋するエージェント会社に登録をし、そこから仕事を請け負う形が一般的ですが、個人的な繋がりで仕事を請け負う場合ももちろんあります。
フリーランスの通訳者は、いろんな分野の知識を深めることができ、出会いも多く、また、通訳・翻訳の実務以外に専門分野を活かした講師業なども可能になるでしょう。しかし、「様々な分野に対応できる」というのは、まさに「言うは易く行うは難し」。仕事のたびに相当の労力と緊張感が強いられることは避けて通れません。
以上、「通訳翻訳大学院」「入試準備学院」について取り上げました。私は以前、韓国留学から帰ってきたとき、日本で通訳学校に数ヶ月通い訓練を積みましたが、その道の厳しさと仕事の大変さに唖然としました。韓国語がある程度できるようになると、世の通訳・翻訳物について、つい批評したくなりますが、経験をしてみて、「易々(やすやす)批判もできないな、これらを生業としている人はほんとうにすごい!」と心から思うようになりました。
通訳の「一瞬の判断で言葉を選ばなければいけない難しさと厳しさ」、翻訳の「単語ひとつの訳に、一時間も二時間もかける葛藤」。これらは「ことばの専門家」として生きていくことになった人々の受難ともいえるかもしれません。
しかし、自分こそが、本来なら通じ合うことができないその場の人々の意思疎通を実現させている、ことばだけでない、心の交流の橋渡しをしているという「充実感」と「やりがい」は、この大変な訓練を積んできた人にしか分からないことなのだと思います。
「通訳翻訳大学院に行って、通訳者になりたい!」という目標をお持ちの方、この誰もが得られるわけではない、特別なものをぜひ掴んでください。応援しています!
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