覚えるべきところを絞り込む――対象は「70%理解しているもの」
もう一つ独自の工夫が見られるのがステップ3。ここでは覚える内容の「整理」を行うのですが、それは「下線を引いて自分が覚えるべきところを特定する」ことだと書かれています。
やるべきことが具体的でわかりやすいのですが、ここで問題となるのが「覚えるべきところ」かどうかをどうやって判断するのか?
この点について、宮口氏は記憶術を使う条件として、
と書かれています。「記憶術で覚える対象は、原則として『内容を理解できるもの』『ある程度理解しているもの』です」
そのために、「100%理解」は必要ではないけれども「70%理解」が必要であるとしています。
そして、この「70%理解」が「文章を読んで、『どこを覚えたらいいのか』がわかる程度の理解のこと」だというわけです。
では、この「70%理解」まではどうやってもっていけばいいのか?
ここが受験生が悩むところでしょう。
「70%理解」に記憶術は活用できないのか?
また、覚えるべきところを下線を引いて絞り込んでいくといっても、その量はかなりのものになります。
「覚えるべきところ」をすべてイメージ化して、写真にアタッチ(結合)することは現実的なのか?
この最後に挙げた2点が試験勉強での実践において課題となるところでしょう。
試験勉強で本当に使えるか?――70%理解までどう持っていくか?
どうやって「70%理解」していくのか?
理解がある程度終わったあと、試験本番に備えて記憶するために用いるのです。このため、ある程度理解するまでは記憶術の出番はありません。
しかし、多くの受験生が苦労しているのは、70%理解にまで持っていくところです。これまで馴染みのない科目の問題集やテキストは、知らない専門用語ばかりで、最初は読む気もしなかったりします。
実は、この70%理解に持っていく過程においても、記憶術は活用できます。
たとえば、買ってきたテキストの目次項目を宮口式記憶術を用いて記憶してしまうことで、テキストに取り組みやすくなります。
知らなかった専門用語も理解はともかく言葉だけでも記憶してしまうことで、一気になじみが出てテキストを読みやすくなるからです。
また、目次を記憶すればそのテキストの全体像が把握でき、理解がしやすくなります。
そして、もう一つの課題、イメージ化して覚える量をいかに減らすかです。
これについては、「あるもの」を活用することで、一気に減らすことができます。
その「あるもの」とは、テキストの「形」です。
あなたは試験本番で何か思い出そうとするとき、どうやって思い出しますか?
おそらく、それまで勉強してきたテキストを思い浮かべて、思い出そうとするのではないでしょうか?
そうです。このテキストの「形」を使うのです。
詳しくは拙著『「1分スピード記憶」勉強法』(三笠書房)を読んでいただきたいのですが、テキストの「形」も思い出すためのガイドとして使うことで、イメージ化して覚える項目を一気に減らすことが可能です。
こういった点も考慮して、宮口式記憶術を活用してください。