4-1.メールの宛先は正確に記載する
取引先にメールを出す場合、まずは宛先から入力します。会社名、部署名、担当者名(フルネーム)の順番で基本的には手紙の書き方と同じです。ビジネス文章を送る場合、右上に日付を入れますがメールでは送信日付、受信日付が自動的に記録されますので不要です。<例>
株式会社オールアバウト
営業部第1課
水谷 哲也様
相手から「(株)オールアバウト」と省略したメールが届いたとしても、送る時は省略してはいけません。きちんと「株式会社」にします。また、株式会社が会社名の前か後ろにあるのか注意が必要。順番には意味があり、間違えると名前を間違うのと同じで失礼にあたります。
会社なので「株式会社」と思い込まず、会社形態には、有限、合同(LLC)、合名、合資会社があることに注意しましょう。相手からもらった名刺があるのなら、名刺を見ながら正確に入力します。業種によりますが、有限責任事業組合(LLP)、農事組合法人、NPOへ送る場合もあるので、名刺に記載されている名称をよく確認します。
相手に部長や課長などの肩書きがある場合は「営業部第1課 課長」と肩書きをつけます。担当者ではなく部署にメールを出す場合は、「営業部第1課 御中」と御中をつけます。部署名などが分からない場合は、「営業担当者様」でかまいません。
相手と何度もメールのやり取りをし、お互いに気心もしれてきたら会社名などは省略して「○○様」と担当者名でやり取りをしてもよいでしょう。女性が出す時は柔らかい感じを出すために「○○さま」という宛名を使う場合があります。ただ、年の離れた目上の人に対してはフォーマルな宛先にしましょう。
悩ましいのが標準辞書に入っていない名前です。百貨店「高島屋」の高は正式にはハシゴ高で、普通の高ではありません。山崎の崎にもいろいろな字がありますがメールの場合、文字化けしてしまう可能性が高いので標準辞書の字で代用せざるをえません。最初にメールをする時は「フォントにお名前がないので代用しています」と一言添えるようにすれば、相手に気づいているなということが伝わります。
4-2.メールの書き出しには一行添え名乗る
メールの書き出しです多いのが「いつもお世話になっております」。初めてメールを出す相手であれば「はじめまして」でよいでしょう。ビジネスメールですので、「平素は格別のご高配をたまわり、厚く御礼申し上げます」や「拝啓」といった時候の挨拶はいりません。
忙しい人にとっては反対に回りくどく感じてしまいます。「いつもお世話になっております」程度でかまいませんが、これだけでは味気ないので季節の話題や今、取り組んでいることを1行添えると効果的です。
<例>
・いつもお世話になっております。上野公園の桜も満開となり、春本番ですね。
・いつもお世話になっております。ホノルルマラソンへ挑戦するため皇居周辺を毎日走っています。
ビジネスメールといえども、個人がメールを出し、受け取った個人が読みます。単語登録されているような決まりきった言葉ではなく一工夫できるよう心がけましょう。この人から届いたメールなら、読みたいと相手に思ってくれることが大切です。
書き出しの次は、名乗ります。携帯メールでは、相手の携帯に登録された名前が表示されるので名乗らないのがふつうですが、ビジネスメールではご法度。書き出しで誰が出したか分かるようにします。
なかにはいきなり要件から始まるメールがありますが誰が送ってきたのか分かりません。署名がついていれば誰か分かりますが、なければ送信者名やアドレスから推定するしかありません。なかには個人のアドレスではなく会社やグループのアドレスを使っている場合があり、こうなるとメールアドレスをみても誰が送ってきたか追跡できません。
署名がついていても本文が長いと下までスクロールしないと誰が送ってきたか分かりません。本文の最初で名乗ることを忘れないようにしましょう。
<例>
いつもお世話になっております。
花岡商事株式会社の東 俊一(ひがし しゅんいち)です。
フルネームで名乗るのが基本ですが、何回もやり取りしている相手には姓だけでもかまいません。難読漢字の名前や俊一(としかず、しゅんいち)のように、いくつも読み方がある場合は括弧で読み仮名をつけます。
<宛名と挨拶文の例>
株式会社オールアバウト
営業部第1課
水谷 哲也様
いつもお世話になっております。
上野公園の桜も満開となり、春本番ですね。
花岡商事株式会社の東 俊一(ひがし しゅんいち)です。
4-3.メールソフトごとの注意点
メールソフトはバージョンアップを繰り返しており、基本的な機能は各メールソフトともに備えていますが、ちょっとした注意点があります。ロータスノーツはグループ内で使うことを前提としたメールソフトで、メールアドレスの情報は、サーバー内のアドレス帳で管理しており、ユーザーが送信者名を変えることはできません。グループ会社全体でロータスノーツを導入している場合、グループに所属する会社名などが長いとグループ会社間で通用する略称をつけ、その後ろに個人名を足した送信者名を設定することがあります。ロータスノーツから、そのままメールを外部に送れるため、グループ会社の略称を知らない他社にとっては、よく分からない送信者からメールが届くことになります。
アウトルックで添付ファイルを送ると相手に届かないことがあります。メールに「Winmail.dat」という変な添付ファイルがついて相手に届きます。 メッセージの送信形式がリッチテキスト形式 (RTF) でメールを送ると、この変な添付ファイルがつくことがあります。この場合、送信者に連絡してテキスト形式でメッセージを再送信するよう依頼します。またアウトルックでは最初の設定がリッチテキスト形式での送信になっていますので、まず送信形式をテキストに改めましょう。
GmailはWindows Liveメールなどと異なりクラウド上で活用するサービスとなります。パソコンだけでなくスマホやタブレットで活用でき便利ですが、外部に企業情報を置くことをセキュリティ上、認めていない会社が多くあります。反面、Gmailは受信時やメールを開くたびに自動的に添付ファイルがスキャンされるのでウイルス対策の面ではすすんでおりIT系企業での導入はすすんでいます。
4-4.簡潔なメール本文を目指す
メールは届いたら24時間以内に返信しましょう。ビジネスメールに慣れていない新人には、送る前に十分に内容を確認し、より簡潔な文章にならないか推敲するよう促しましょう。携帯メールと違い、会社で使うメールは取引先に送るものです。舌足らずな表現になっていないか、反対に冗長すぎないか、誤字や脱字がないか確認をしましょう。丁寧な表現にしないといけないと思うあまり、間違った敬語の使い方をしている時もあります。宛名を間違えてトラブル発生することがないよう、アドレス欄を何回も確認させます。課長は、部下の営業担当・青木君から以下のようなメールを受け取りました。
「A社の社長にお叱りを受けました。」
こんなメールを受け取ると、どう感じるでしょうか? 「お叱りを受けた」という言葉は、文章でサラっと書くだけだとネガティブな印象になります。
メール文書は伝える力が非常に弱く、伝える力が大きいのは「相手の表情や素振り」です。セールスで第一印象が大切というのをよく聞きますが、まさしく「目は口ほどにものを言い」です。その次が音、つまり「声」です。メール本文は一番伝える力がありません。
「A社の社長にお叱りを受けた」という内容をネガティブで深刻な状況だと思った課長は、青木君を呼んで、質問しました。
課長:「青木君、さっきもらったメールだが、A社の社長に叱られたっていうのは、いったいどういうことなんだ? A社はうちの大切な取引先なんだぞ!」
青木:「いや~参りましたよ。課長。昨日は社長と一緒に飲みにいったんですけど、社長が凄く酔っ払っちゃって。さんざん人生についてお叱りを受け、帰りは家までお送りしました。出迎えた奥さんが恐縮して平謝りしていました。」(青木君は、頭をかきつつ笑顔で状況を説明。)
課長:「そういうことか。てっきり社長を怒らせたのかと思ってゾッとしたぞ。驚かせないでくれ。」(ことが深刻じゃないと分かり、課長はホッとしました。)
このようにフォローができるケースであればいいのですが、誤解されたまま放置されてしまうこともあるでしょう。メールでは、“誤解されている”ということを、相手がわざわざ言い出さない限り伝わりません。
誤解を招かない、端的で正確な表現をするように気をつけましょう。自分の表現力に自信がない場合は、やはり直接会うか電話でコミュニケーションを取ることを優先させましょう。
4-5.機種依存文字は使わない
機種依存文字とはWindowsからMacに送ると文字化けするような文字を言います。基本的に記号が多いのですがml(ミリリットル)のような単位はビジネスメールでは、あまり使いませんので、ビジネスで気をつけないといけないのが漢字1文字で表現する株式会社、郵便番号、電話番号。他に丸付き数字やローマ数字があります。Macを使っていると、よく文字化けしたメールが届きますので相手は慣れていますが、送った側のITリテラシーが低いと思われますので注意しましょう。▲■●などは機種依存文字ではないので使っても大丈夫です。
4-6.どこまで相手のメールを引用するか
メールをやり取りするたびに増えていく引用はずっと残しておくべきでしょうか。引用の利点は履歴が残りますので最新のメールを見るだけで、今までのやり取りが全て分かり便利です。反面、何回もメールをやり取りしていると引用が雪だるま式に増えていくため、わずらわしい面があります。質問事項のみを残し、その都度回答するやり方をしている人もいます。この場合、どの項目に対しての回答かわかりやすくなります。好みの問題にちかく、どちらの方法をとってもよいでしょう。
ただ気をつけないといけないのが、取引先から最終的なOKが出たので最後のメールだけ「CC」をつけて上司に送ると、上司は途中経過が分かっていませんので、聞いている話とちょっと違うのではないかと横槍が入ることがあります。メールを送るのと並行して口頭で上司にしっかり報告させるようにしましょう。
4-7.本文一行あたりの文字数は35字まで
本文の1行あたりの文章は、長くても全角(漢字)35文字までにしましょう。これは読みやすさの面に加えて、返信する時に「>」の返信マークが追加されることによって、1行で届いた文章が2行にわたり見にくい文章となることを避けるためです。長くても1行35文字以内で改行しましょう。最近、スマートフォンでメールを見ることが増えてきました。パソコンのメールではキレイに改行されている文章も、スマートフォンではガタガタになっていることがあります。また見栄えを考えてスペースで字下げをするとスマートフォンでは見づらくなってしまいます。
相手がスマートフォンでメールを見ると分かっているのなら、改行せずに送る方が見やすくなります。
4-8.アドレス帳を使いこなす
よくメールを送る相手をアドレス帳に登録しておけば、次回からメールアドレスを入力せずにメールをすぐに出すことができます。相手の名前やメールアドレスを直接、アドレス帳に登録する方法もありますが、一番簡単な方法は届いた相手のメールを選択、右クリックしてアドレス帳に登録します。この場合、アドレス帳へ登録される名前は、メールを送った相手が自分自身で設定した名前になります。例えば「水谷哲也」と名前を設定していると、メールを送った相手はこの名前でアドレス帳に登録されます。
ビジネスで使うメールであれば、相手の名前をそのまま使わずに、ひと手間かかりますが、様と敬称をつけましょう。また「○○社 △△様」と会社名を名前の前におぎなってもかまいません。相手が返信を出そうとすると自分の名前にきちんと敬称がついていることを確認できます。何気ないことですが、これも相手の気持ちに配慮するというマナーの一つです。