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新旧を織りまぜた上質ノート「レコードブック」

コクヨの「洋式帳簿」100周年を記念して作られた「レコードブック センチュリーエディション」。クラシカルなスタイルで上質な書き味が楽しめます。

土橋 正

執筆者:土橋 正

ステーショナリーガイド

いい書き味は後を引く

今や一冊のノートが1000円くらいしてもあまり驚かなくなった。それはいつ頃からだろうか、ひとつのきっかけとして、「ロディア」の存在があると個人的に感じている。それまで国内ではどちらかと言うと、再生紙を使ったノートが一般的だったように思う。そうした中でフランスから、バージンパルプ、つまり再生紙を使わない紙、そのメモ帳がやってきた。しかも紙重量が80g/平方mと紙の厚みも結構ある。書いてみると、その書き心地がすこぶるいい。私だけでなく、たぶん多くの人がそう感じたに違いない。一度いい書き味を知ると、なかなか後戻りができなくなってしまう。

そうした状況を日本のノートメーカー各社が見ていて、上質な紙なら我々だって十八番の分野とばかりに、デザインフィルの「MDノート」、マルマンの「ニーモシネ」、ライフの「ノーブルノート」など、続々と市場に現れ、ユーザーの支持を受けてきた。

ノートの大手、コクヨがそろそろ私たちもこの市場に参入しようと本腰を入れ、上質ノートを出してきた。「装丁ノート<RECORD BOOK Century Edition>」だ。

コクヨS&Tundefinedレコードブック

コクヨ S&T 装丁ノート<RECORD BOOK Century Edition> 各1260円



100周年を記念して

今回のノートのベースになっているのはコクヨの帳簿用ノート。正式には「洋式帳簿」という。帳簿とあるように、それは会社の経理情報などをまとめるためのものだ。会社にとっての大変重要なデータをまとめていくものなのでインクのにじみが少ない紙、そして末永く保存がきく作りになっていた。帳簿がパソコンに取って代わるまで会社を縁の下から支える重要なノートとして使われ続けてきた。

そのコクヨの帳簿用ノートが今年でちょうど100周年を迎える。それを記念して今回の「装丁ノート<RECORD BOOK Century Edition>」が作り出された。

コクヨS&Tundefinedレコードブック

帳簿用紙が普段使いしやすいデザインに生まれ変わった



古さと新しさが共存した作り込み

サイズはA5。表紙のデザインは帳簿ノートが盛んに作られていたであろう大正時代の雰囲気をタップリと盛り込んだクラシカルなものになっている。ノートの小口には規則正しい模様が印刷されている。この小口デザインは、横罫と方眼罫で違うものになっている。

実は帳簿用ノートにおいて、この小口のデザインは切っても切り離せない関係にある。その昔作られていた帳簿ノートにも柄こそ違うが、小口に模様があった。なぜかというと帳簿の改ざん防止のためだ。もし1ページを破りとっても小口を見ればそれがすぐにわかるようになるのだ。

コクヨS&Tundefinedレコードブック

美しく印刷された小口デザイン。左側が方眼罫、右側が横罫


表紙には細かなエンボス加工がされていて、押しつけがましくない上品さがある。そのクラシカルな表紙をめくると、一気に時代は現代に戻ったかのような鮮やかなカラーの見返しになっている。表紙のカラーは3色あり、それに合わせてこの見返しもそれぞれ違う色が使われている。

コクヨS&Tundefinedレコードブック

細かなエンボスで敷きつめられたクラシカルな表紙


コクヨS&Tundefinedレコードブック

表紙がシックな分、見返しは鮮やか


ノート紙面はシンプルなレイアウト。先程の小口デザインが、ちょうどノートを縁取りしているかのようにハッキリと確認できる。横罫も方眼罫もノートの端っこまで印刷されていない。およそ5mm くらいグルリと隙間ができている。きっとこれは小口のデザインと罫線が見た目に喧嘩しないためなのだろう。

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薄めのグレーで印刷された方眼罫

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天地左右にゆるやかな余白が用意されている。小口デザインがかすかに見える



紙には進化し続けてきたオリジナルの「コクヨ帳簿用紙」が使われている。昔と比べ今や様々なペンが存在しているので、それぞれの特性を考えたためなのだろう。

一枚の紙重量は100g/平方mという超重量級。私はその重みより厚みをとても感じた。親指と人差し指の間に一枚をはさみ、つまんだだけでその厚みが実感できる。そして、その一枚を横から見る、つまり一枚の紙の側面を見るということだ。すると小口デザインが1枚になってもかすかに確認できるのだ。100g/平方mという紙を指触り、そして視覚的にも実感できる。

コクヨS&Tundefinedレコードブック

100g/平方mの厚い紙は、ご覧のとおり1枚だけでも小口デザインが確認できるほど

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横罫(6mm)にもグルリと余白がある



書き味も上質

いろんな字幅の万年筆をはじめ、水性ボールペン、ゲルインクボールペン、滑らか油性ボールペンなどで試し書きをしてみたが、どれも快適に書くことができた。言葉で言い表すならば「節度ある滑らかさ」といった感じだ。心地よさという点では滑らかに越したことはないが、あまりに滑らか過ぎるのも少々不安になる。この紙には「書き応え」というものもちゃんと備わっていた。

コクヨS&Tundefinedレコードブック

万年筆、ゲルインク、滑らか油性ボールペンで筆記テストをしてみたが、いずれもOK


個人的にはB(太)の万年筆とゲルインクボールペンの0.7mmが最も心地よい組み合わせだった。それぞれのペンの良さを引き出してくれているのを感じた。

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個人的に万年筆の太字(B)での書き味が滑らかで心地よかった

コクヨS&Tundefinedレコードブック

書くだけでなく「フリクション」での消し味も快適だった


「レコードブック」ということで大切に書き残すという使い方をコクヨでは提唱している。たしかにそういう使い方もいいが、日々の仕事用ノートとして普段使いするという方がこのノートの良さをタップリと味わえるように思う。

コクヨS&Tundefinedレコードブック

いい紙質をタップリと堪能できる「装丁ノート<RECORD BOOK Century Edition>」


■関連リンク
* コクヨS&T 装丁ノート<RECORD BOOK Century Edition>
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