海洋都市国家ベネチアの至宝
サン・マルコの鐘楼からの眺め。上がサン・ジョルジョ・マッジョーレ島とその教会。下の2本の柱、左の柱上にはベネチアの象徴「サン・マルコの獅子」、右の柱上には「聖テオドーロ」が飾られている
こちらもサン・マルコの鐘楼から眺めた街並み。下に見える5つのタマネギドームがサン・マルコ大聖堂
ベネチアの政治・経済・文化の中心がサン・マルコ広場だ。ナポレオンが「世界でもっとも美しい空間」と絶賛した広場で、ロマネスク・ゴシック・ルネサンス・バロック・ビザンツ・イスラム等々多彩な建築様式が混ざり合った華麗な建物が立ち並んでいる。
その中でもっとも重要な建物が、ベネチアの守護聖人(街の守り神)・聖マルコを祀るサン・マルコ大聖堂だ。華麗なポルティコ(正面玄関の玄関廊)、巨大なタマネギドーム、黄金で覆われた室内空間を持つビザンツ建築の傑作で、ベネチアの象徴となっている。
12世紀に建造され、多数の軍艦を築いて海洋都市国家を支えた国立造船所アルセナーレ
そして、地中海最強を誇ったベネチア海軍を生み出したのが国立造船所アルセナーレだ。12世紀以降、ここで建造した多数の軍艦によってアドリア海貿易を支配。ビザンツ皇帝の依頼でビザンツ帝国(東ローマ帝国)を守るようになると、西アジアとの東方貿易(レヴァント貿易)によって莫大な富を手に入れた。
後期ルネサンスの担い手ベネチア
サン・マルコ大聖堂のポルティコ(玄関廊)のモザイク。イエスの物語や聖マルコの遺骸をベネチアに運ぶ様子が描き出されている
サンタ・マリア・デッラ・サルーテ教会。10万本の木組みを土台としており、その上に石を並べて建設されている
ベネチア派の代表がベネチア三大画家、ティッツィアーノ、ティントレット、ヴェロネーゼだ。彼らの作品はアカデミア美術館をはじめ主だった教会で見ることができる。
建築物では、白大理石で造られたルネサンスの傑作リアルト橋、サン・マルコ広場の対岸に浮かぶサン・ジョルジョ・マッジョーレ教会、巨大なクーポラ(ドーム)と正八角形の土台が美しいサンタ・マリア・デッラ・サルーテ教会などがルネサンス時代の栄光を伝えている。