手軽な乳酸菌飲料は大人気!
ヨーグルトは乳酸発酵による食品。
週1回以上飲用者は3割弱。乳酸菌飲料に期待する機能・効果は「腸内の環境を改善する」が最も多く、以下「便秘を防ぐ・便通をよくする」「体の免疫力増強」などがありました。
乳酸菌は、生育に必要なエネルギーを得るために、ブドウ糖や乳糖を分解して乳酸を作り出す乳酸発酵をする微生物をさします。発酵には、乳酸発酵の他に酢酸発酵、アルコール発酵などがあります。乳酸菌を利用して作られる食品は、ヨーグルト、チーズ、ワイン、味噌、醤油、清酒、ワイン、パン、お漬け物など、世界中にたくさん見られます。
乳酸発酵すると、どんないいことがあるの?
味噌や醤油、清酒などは、乳酸菌だけでなく酵母の力も借りて、発酵をしていますが、乳製品は、主に乳酸菌によって作られます(カビを使うチーズなどもありますが)。乳酸発酵した食品は、つくりだされた乳酸により、酸味が強くなり、ペーハー(pH)が酸性に傾くので、腐敗菌の増殖を抑え、保存性が高まります。また糖やたんぱく質が分解されて甘味や旨味が感じられやすくなり、生成された物質も加わり風味が増しておいしくなります。乳糖分解酵素は乳幼児から成長するとともに減っていくため、大人が牛乳を飲むとおなかがゴロゴロすることがありますが、これを乳糖不耐症といいます。ヨーグルトなどの発酵乳や乳酸菌飲料は、乳糖が分解されているので、乳糖不耐症の人が食べてもゴロゴロすることが少なくなります。
その他にも、乳酸発酵食品は、健康に役立つ様々な作用があるという研究報告があります。乳酸によりカルシウムの吸収がよくなり、乳酸菌が増えることで腸内環境を酸性にして悪玉菌の力を抑えられます。腸内には免疫細胞の多くが存在するので、腸内環境がよくなると免疫力が強化され、病気等に対する抵抗力が高まると考えられています。
このようなヒトに有益な作用をもたらす行きた微生物を「プロバイオティクス」、またオリゴ糖のような腸内有用菌の増殖や活性化を促す物質は「プレバイオティクス」と呼ばれます。これについても、以前に「やさしい健康法プロバイオティクス」の記事でまとめましたので、ご参照ください。
乳酸菌の仲間たち
乳酸菌は特定の微生物を指すのではなく、酸素の少ない環境に好んで生育し、消費したブドウ糖に対して50%以上の乳酸を生成する菌の総称です。乳酸菌の形態から大きく分けて、桿菌(ラクトバチルス、カルノバクテリウムなど)と、球菌(ラクトコッカス、ロイコノストックなど)があり、様々な種類の菌が存在します。
ビフィズス菌はY型の形状で、他の乳酸菌と比べて、酸素があると生育できない、酢酸も作ってぶどう糖に対して50%以上の乳酸を生成しないなど、他の乳酸菌とは性質が異なる面もありますが、乳酸菌の中に含めて考えられています。
乳酸菌の分け方として、ヨーグルトやチーズなどの乳糖を発酵する動物性に対して、お漬け物や味噌などの植物性の糖を発酵させる乳酸菌は植物性です。植物性乳酸菌は、塩分などの過酷な環境でも生き抜く強さがあると考えられ、数年前から脚光を浴びました。これについては、以前の記事「強い植物性乳酸菌を見直しましょう」でもご紹介していますので、詳しくはご覧ください。
各メーカーでは、それぞれ独自の乳酸菌を活用した食品や飲料を開発し、その機能性等についても研究しています。細菌やウィルスなどに対する免疫力を活性化する作用や、免疫バランスを整えることによるアレルギー体質の改善に役立つといった報告があります。
メーカー各社の乳酸菌を使った研究では、睡眠の質向上や保湿・美白に関する肌機能の向上、ヒトの「記憶力・集中力の改善」といった脳機能に関する作用など、興味深い研究もあります。機能性の表示を認可されたトクホもあり、今後ますます期待も高まることでしょう。