外羽根式なら、結構大丈夫!
上の写真の通りHICKIESは両端がソケット状になった伸縮性のあるゴム紐で、一対の鳩目に通した後にその両端を重ね合わせるのを通じて、これまでの靴紐と似た役割を果たすものです。1パックに14個+色違いのオマケ2個入りなので、数としてはメンズの大抵のドレスシューズやローカットのスニーカーはもとより、例えばTricker’sのカントリーブーツにも対応できます。スニーカー向けに売り出したものだけに、軽快な色合いを中心にカラーバリエーションも結構あり、また紐部とソケットの芯の部分とが容易に付け外し可能、つまり双方の付け替えが可能なので、何セットも買ってカスタマイズしたくなる人も恐らくいらっしゃるでしょうね。今回は敢えてドレスシューズに付けて履き心地を確かめてみるのが目的でしたので、飯野は中でも最も地味な、紐がカーキ色でソケットの芯がバーガンディ色のものを購入しました。実際に手に取ってみると、紐の部分は伸縮性に富む割にコシもあって、そう簡単には伸び切ってちぎれたりはしないように配慮されているようです。かと言って決してガチッと硬い訳ではなく、先端を鳩目に通すのにはそれほど苦労しません。
折角なので様々な種類の靴に試してみたのですが、まず、残念ながら全く向いていないのは内羽根式のもの。ハッキリ言ってブカブカになります。ただし、この商品はあくまでもスニーカー向けに開発されたものですから、相性が悪いのは当然と言えば当然です。その一方で、同じドレスシューズでもそれと比較的似た構造の外羽根式のものに付けると、短靴であれブーツであれ歩いていて靴が脱げる! 的な感覚は特段なく、「靴紐より僅かにルースかな?」程度にそこそこ快適に足をホールドしてくれます。
実はこのHICKIES、紐部を鳩目にどう通すかでフィット感を結構変えられるのが隠れた特徴です。通常はこれを外踝・内踝側の対となる鳩目ごとに装着するのですが、真ん中の写真のように紐部を斜めに通すとよりタイトに、下の写真のように紐部を横ではなく縦の鳩目同士に通すとよりルースになります。要は前者がより通常の靴紐に近い感触を得たい方向け、後者は例えば甲高の方向けです。鳩目の外踝・内踝側の一対単位でロックさえできれば、1本のHICKIESが必ずしも自分自身とのみで繋がりを完結させる必要はない……。見た目はシンプルながら素材的に、そしてシステム的にも高度な柔軟性をこの商品は持ち合わせている点は、なかなか興味深く思います。
HICKIESを横ではなく縦同士の鳩目に通せば、1本ごとにロックを完結させるよりもフィット感がルースになります。こちらは甲高の方向けでしょうか。ゴムの弾性のベクトルを考えると、他にも面白い通し方が可能かも?
ではこのHICKIES、実際にはどのような人に向けにベストなのか、最後のページで考えてみました。