2、曲選びと譜面
さていよいよ、ドラムと練習場所が準備できたら、次は曲選びと練習方法などが書かれた教則本が必要ですね。教則DVDなども沢山出ていますが、スタジオで練習する場合は、準備の要らないCD付きの教則本がおすすめです。まったくはじめてのと書いてある通り、ここから始めて行くのが良いでしょう。教則CDがついているので、根気強く練習していけば、必ず上達するはずです。
また、ネット環境が整ったタブレットやスマホなどをお持ちの場合は、「YouTube」を見ながら研究するのもおすすめです。「はじめてのジャズドラム」とか「ジャズドラム 初心者」などで検索すれば、沢山丁寧に解説してくれるビデオに出会えます。
ドラムは実際にどうやっているのか、目で見た方が何倍も理解が深まりますので、おすすめです。
ジャズドラム演奏参考曲 第二位
ステップス「ステップバイステップ」より「アンクルボブ」
Step By Step
そもそもモダンジャズのドラム、いわゆる4ビートと呼ばれるものは、それ以前のスウィングジャズに代表される踊るためのオンビートだったものから、オフビートを強調するようになったのが始まりです。
スウィング時代は1小節にドンドンドンドンとバスドラム(右足で叩く一番大きなドラム)を4つか、間をおいて2拍目と4拍目に2つ入れていました。それがタイムキープや音頭となって、観客が踊っていたのです。
それが、ケニー・クラークやマックス・ローチ、アート・ブレイキーらによって、ビ・パップ・ドラミングが創造され、バスドラムはタイムキープから解放され、自由にアクセントとして入れられるようになった(オフビート)というのが歴史的背景にあります。
そのオフビートが、チャールズ・ミンガスやマイルス・デイヴィスらによってビートの速度を曲中変化させる表現方法や、オーネット・コールマンらのそもそもビートの無いフリージャズの感性をも取り入れ、4ビートはリズムキープという側面よりもむしろ遊びの多い感性的な表現が主流になっていました。
そこに70年代も後半になって、忽然と登場したのがスティーヴ・ガッドです。彼は、モダンジャズ以前のドラマーが持っていた割り切れるリズム、リズムキープという役割を強引に皆に思い出させた先祖がえりとでも言うべきドラマーでした。
スティーヴの登場は、その昔日本のお家芸だった柔術が、遠くブラジルの地で脈々と受け継がれ、世界中にセンセイションを巻き起こした「グレイシー柔術」の登場と同じような衝撃をもたらしました。
その一聴、マーチングバンドやドラムコー(軍隊の音楽隊)直結のスネアドラム(一般的に左足の前で身体に一番近いところにある要になるドラム)の奏法やパラディドルやオープンロールといったルーディメンツプレイ(マーチングバンドのドラマーの基本の型)と言われるドラムテクニックはキッチリとリズムで割り切れ、誰もが理解しやすいだけに次世代はもちろん、同世代の多くのドラマーのよりどころとなりました。
このCDの「アンクルボブ」では、そのスティーヴの4ビートの神髄を聴くことができます。モダンジャズの多くのドラマーのトップシンバルは、余韻を感じさせる長い音の連続で音の幅やゆらぎの中でビートを作っていきます。それに対して、スティーヴのトップシンバルは音の長さも計算されており、「ツンツンツンツン」という短い1音が、左手のスネアドラムで常に鳴っている三連のリズムの一拍分の長さという非常にタイトなもの。
この事により、スティーヴの叩きだすリズムが全てはっきりとわかり、スッキリとした印象を与える事になっています。この辺の分かりやすさや、スタイリッシュさも明確な再現性があり、多くのフォロワーを生んだ要因とも言えます。
スティーヴ・ガッドは70年代後半にひょっこり現れた、40年代の大ドラマー、ジーン・クルーパやバディ・リッチの再来ともいえる「スウィングドラマー」なのかもしれません。
次のページでは、プロドラマー直伝のまる秘リズム練習法をこっそりご紹介します!
Amazon