アプリコット色のデューン、ナミブ砂海
アプリコット色の砂肌に刻み込まれた風紋。よく見ると甲虫やトカゲもちらほら見かけられる ©牧哲雄
かつての沼沢跡。干上がって表層が割れている ©牧哲雄
その砂肌を見渡せば、柔らかくうねる風紋の無数の連なり。その曲線は優雅だがきわめて繊細で、ほんの少し触れただけで途端にサラサラ崩れ去る。この広大な景観が2mmに満たない微少な砂からできあがっているのがよくわかる。
思えば砂砂漠も巨大な風紋だ。ぽつんと単独のデューンというのもあるけれど、たいていデューン同士いくつも連なって、稜線を結んでひとつの列を成している。ナミブ砂海を上空から見ればその列の連なりはまさに風紋。砂漠の景観は典型的なフラクタル図形(部分を拡大すると同じような構造が現れる図形)なのだ。
世界最大のデューン帯、ソススフレイ
ソススフレイに発生した沼沢。こうした沼沢が生まれるのは上流に多量の雨が降った年のみで、数年に一度のこと ©牧哲雄
ソススフレイと沼沢 ©牧哲雄
ツアーではたいていこのソススフレイを訪れて、数時間のトレッキングを楽しむ。360度、デューンに囲まれたその景観は凄まじいのひとこと。しかしながらこのソススフレイ、数年に一度、さらにすばらしい景観で人々を魅了する。
ソススフレイの意味は「最果ての沼沢」。上流で雨が降ると、ソススフレイに川が流れ着いて低地に沼沢(浅い沼地)が誕生する。ソススフレイを流れる川はこの沼沢で消え去り、湖や海に出ることがない。そのまま砂漠に飲み込まれて消える幻の川なのだ。