身動きができなくなってしまった駒
図をご覧いただきたい。まずは「飛車」に注目していただこう。ご存じのように、通常なら「飛」はもっとも動ける箇所の多い駒だ。ところが、図の「飛」はまったく動くことができない状態になっている。前後左右に味方の駒があり、動きようがないのだ。これでは、いかに「飛」と言えども、活躍のしようがない。さらに、見ていただきたい。なんと「香車」も袋小路に陥ってしまっている。後ろに下がれぬ「香」は悲しみにふるえているだろう。
さらに、よく見ていただきたい。「桂馬」も同様なのだ。ぴょんと跳ねようにも、着地地点に自分の駒がいて、ままならぬ状態である。
悲しいかな、これだけでは終わらない。あの軽快なフットワークを誇る「銀将」を見ていただきたい。「銀」も泣いているではないか。つまり、図の状態は、なんと4枚の仲間が味方に邪魔をされ、動けぬ状態におちいってしまっているのだ。こういう状態を「じゃま駒」状態と呼ぶことにしよう。
特に自陣で気をつけたい駒の動き(いつ・どこ)
例でも出したように、多くの駒が集まっている自分の陣地では、特に「じゃま駒」に注意が必要だ。位置だけではない。動かす順序を間違えてしまったために、「じゃま駒」を作ってしまうケースは、そう珍しいことではない。これを将棋用語で「手順前後した」というので覚えておいてほしい。「じゃま駒」を作らぬために大切なことは、順序と位置、つまり「いつ」と「どこ」なのだ。この感覚を身につけるのに、最適な将棋パズルがある。紹介しよう。さっそく盤と駒を用意していただきたい。将棋パズルで感覚を身につけよう
右のスタート図をご覧いただきたい。見慣れた将棋の初形……ではない。よく見ると「飛」と「角」の位置がさかさまになっている。パズルで学ぶ駒の動き