避暑地で涼しく聴きたいジャズを厳選!
暑い夏を乗り切るには、かき氷など冷たいものを食べる。逆に熱くて辛いものをいっぱい食べる。運動をして汗を流すなど、色々くふうや方法が考えられます。もちろんキンキンに冷房の利いた部屋も良いですが、やはり自然に涼がとれる場所に行きたいものです。休みさえ取れれば優雅に避暑地に逃げ込むというのも最善の方法の一つです。昔は避暑地と言うと軽井沢あたりが代名詞でしたが、最近では富良野など北海道も人気。今回はそんな避暑地に出かけた場合に涼しく聴きたいジャズ(JAZZ)をシーン別にご紹介します。
有名キーボード奏者 リチャード・ティー 「ストローキン」より「ヴァージニア・サンデイ」
ストローキン
航空会社が多様化し、ツアー会社もリーズナブルなツアーを提案しやすくなった背景もあり、近年では北海道が避暑地として脚光を浴びています。特に、人気があるのが富良野です。いまだに「北の国から」の影響があるのか、テレビで一躍有名になってからは、着実に観光や避暑地としての人気が上がっているようです。
緑が豊かなゴルフ場
それに北海道なら、スルー(9ホールを終えて食事休憩が入る日本独特のスタイルではなく、プロのトーナメントのように18ホール一挙に回る形態)のところがほとんどですので、時間も短縮でき、空いた時間を観光や他に回せるのも良いところ。
このリチャード・ティーの「ストローキン」はジャケットが彼の名前に引っかけていてオシャレなデザインになっています。(ゴルフボールを乗せるティーと名前のティーをかけています)
リチャードにはこのほかに大写しのティーカップのジャケットのものもあり、このCDのレーベル(制作メーカー)「タッパンジー」得意のデザイン性の高い大写しの写真シリーズに偶然にも名前でハマっているのも面白いところ。
「ヴァージニア・サンデイ」はまさにゴルフ場の朝を想わせる音楽です。日曜の清々しい朝に、緑の芝生がどこまでも続く中、そよ風が心地よいと思わせるような優しいサウンド作りの曲です。北海道のグリーンにピッタリの曲と言えます。
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有名ジャズシンガー ジューン・クリスティ 「サムシング・クール」より「サムシング・クール」
Something Cool
この曲「サムシング・クール」はジューン・クリスティのために作られた曲です。一人語りのドラマのワンシーンのような歌詞を、ジューンは見事に演じる女優の様に切々と歌い込んで行きます。
彼女のハスキーながらも清涼感のある声は、この曲にまさにピッタリ。「何か冷たいものを頂戴」(この場合は、もちろんお酒でしょう)という気持ちになった原因をやや投げやりに、ドライに歌うジューンに大人の女性を強烈に感じます。
彼女の、良くも悪くも一人立ちしている女性の強さと強がりこそが、まさに恋に破れた原因にもなっているのでは、とお節介な気持ちまで起きてしまうほどです。
ジャケットのデザインも、モノトーンからカラーへ、目をつぶって笑っているジューンの顔から、正面を見つめながら笑いかけるジューンの顔へと様変りしています。どちらのジューンが好みかは意見が分かれるところです。
いずれにしても、聴きどころが沢山のこのCD、聴いているだけでクールになれる事請け合いです。
さあ、このCDを持って今すぐにでもどこかに出かけたいところです。湿度が多く蒸し暑い東京に住んでいる私が、近場でおススメしたい避暑地は、何と言っても伊豆高原が上げられます。
うねうねとしたターンパイクから行けば、少し遠回りですが湘南の街並みはもちろん頂上のあたりで遠く世界遺産の富士山も望めます。
何年か前に訪れた時の、宿の露天風呂から見た、黒い海の上に照らされた銀色の波と遠くを行く船の明かり。そしてその上には大きな黄色い月があたり一面を同じ色に変えようとしている様は、まるで日本画のような美しさ。忘れられない思い出です。さあ、お風呂をでたら、ジューンの歌を肴に、何か冷たいものでも飲みませんか。
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有名アルトサックス奏者 レニー・ニーハウス 「レニー・ニーハウス Vol.4」より「オール・ザ・シングス・ユー・アー」
Quintets & Strings 4
ストリングスを従えたこの「レニー・ニーハウス Vol.4」には、「クリスタルのような」と表現される硬めの音質で理知的なソロを取るレニーのアルトサックスが最良の形で納められています。
一曲目「オール・ザ・シングス・ユー・アー」からその特徴が良く現れています。特に途中からストリングスが絡んでくるあたりでは清涼感と品格がさらに増します。
参加しているメンバーの中では、ピアノのハンプトン・ホーズが出色。二曲目「マイ・ハート・ストゥッド・スティル」や五曲目「モア・ザン・ザ・ブルース」でのソロが躍動感に溢れていて、ストリングス物が陥りがちな平面的なリズムに丁度いいメリハリが付き、楽しい気分になってきます。
ハンプトン・ホーズは一時期日本に滞在していた事があり(1952年からの二年間)、その時に日本のミュージシャンに与えた影響は計り知れないと言われています。バド・パウエル直系の名手の割には気さくな性格で、ホーズの名前から「馬さん」と言うあだ名をつけられていたそうです。そういったエピソードからも彼の人柄の良さを感じ、演奏自体も余計にひいき目に楽しいものに感じてしまいます。
格調高いストリングスの音色が、涼しさを醸し出し、レニーやハンプトンなどの冴えたソロが続き、クールな中にもジャズの面白さを感じさせる好演です。
皆さんは今年の夏、どちらか避暑地に行かれますでしょうか。私はどうやら今年も行けそうにありません。避暑地なんて時間も予算もないよと言う方は、せめて好きなジャズを沢山聴いて、私と一緒に納涼気分を味わってくださいね。また次回お会いしましょう!
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